不振のマクドナルド 原田氏、退任秒読み 2期連続減益は確実、事業会社の社長交代へ
カリスマに退場の時が近づいている。国内外食最大手の日本マクドナルド(以下マック)は8月27日、社長交代を実施した。
カナダ出身でマレーシアとシンガポールのマクドナルドを統括するサラ・カサノバ氏が社長兼CEOに就任。会長兼社長兼CEOだった原田泳幸氏は会長となった。今回、親会社の日本マクドナルドホールディングス(以下HD)の役員人事に変更はなく、原田氏はHDの会長兼社長兼CEOにとどまる。
記者会見で原田氏は「退任ではなく、交代だ。六つ持っている役職のうち、二つの権限を移譲するだけ」と強調した。が、マックはHDの連結売上高の99・8%を占めている。そもそもHDの社員数はゼロ、主な業務は株式の保有にすぎない。ガバナンス上は原田氏が上位にあるとはいえ、主役の座を譲り渡したといえる。
2004年のトップ就任後、強烈なリーダーシップでマックを立て直した原田氏だが、その神通力は急速に衰えている。
7年ぶりの減益決算が確実となった昨秋には、米マクドナルドコーポレーション(米本社)のAPMEA(アジア、太平洋、中東、アフリカを統括する機能会社)からマーケティングや店舗運営の幹部が、原田氏の元に続々と送り込まれてきた。この時期、原田氏からは、自身は不動産やFCビジネスに集中するといった発言が飛び出した。
今年3月の株主総会では再任を果たしたが、6月にソニーとベネッセHDの社外取締役に就任したこともあり、退任観測は強まっていた。
一方、こうしたうわさを打ち消すかのように、6月から期間限定のクォーターパウンダー、7月には1日限定の1000円ハンバーガーなど新商品を相次いで投入する大規模キャンペーンを展開。これは10年1月の「ビッグアメリカ」以来の、原田氏がプランを練ったものだ。さらに、自ら筆を執り「掟破」と書いた檄文を各店舗や主要な取引先に配布。メディアに対しては「夏の外食業界を席巻する」と自信を示していた。
しかし、意気込みとは裏腹に結果はついてこなかった。7月の既存店売上高の対前年比は2・7%減と3カ月ぶりの前年割れに転落した。
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