次はベネッセで全権、原田流経営の光と影 「99パーセントのエネルギーはベネッセに費やす」

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マック時代は100人以上の報道陣を集めた原田氏(中央)。3月27日の会見では60人ほどが集まった

日本マクドナルドの社長を10年近く務めた原田泳幸氏は6月21日付で、「進研ゼミ」などを手掛けるベネッセホールディングスの会長兼社長に就任する。今後も日本マクドナルドの会長職を続けるが、「99%のエネルギーはベネッセに費やす」と公言。教育事業の舵取りに意欲を見せた。

2004年にアップル日本法人の社長から日本マクドナルドのCEO(最高経営責任者)に転じた原田氏。直後から強烈なリーダーシップでマーケティング改革などに辣腕を振るった。外食産業の収益源である既存店は、04年度から8年連続で増収を記録。11年度の営業利益は281億円と、就任前の03年度に比べ約10倍に増加した。

その一方で、米マクドナルド本社の方針に沿って、24時間営業店の拡大やフランチャイズ(FC)の集約を推進。行き過ぎた店舗改革や人員削減は、従業員やFCオーナーの反発を買い、訴訟ざたにもなった。幹部級の人材も次々に会社を後にした。こうした中で、強みとしてきた現場力も徐々に低下。これが12年度以降の業績続落の遠因になったと見る向きもある。原田氏は昨年8月に日本マクドナルドの社長職を退いた。

就任会見で、原田氏は教育事業の経営が「人生の集大成」と語った。マクドナルドでの成功体験でベネッセを牽引するのか、それとも、強すぎるリーダーシップゆえの弊害が再び生じてしまうのか。経営者としての器が試される。

(撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2014年4月12日号<7日発売>ニュース最前線掲載記事に一部加筆)

週刊東洋経済編集部
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