老いのかたち 黒井千次著

拡大
縮小
老いのかたち 黒井千次著

近頃は人が歳を取れなくなったといわれる。今の60歳にはかつての60歳の重みはなく、現在の70歳には昔の70歳の威厳は見られない。それは元気な高齢者が多くなったからか、老熟した年寄りが少なくなったからか。

以前の年齢が備えていた老熟の風格は、とうに失われてしまっていると著者は見る。ここ半世紀の日本人の生き方が、なし崩しに昔の老人像を蝕み、その過程には家族のあり方や相続の問題、女権の拡張や医療技術の発達など、さまざまな要因が絡まりあっているという。

昭和一ケタ生まれの作家が、自らの日常を通して現代日本の老いと世相を探る。冷静な観察眼と深い内省が印象深いエッセー56編を収録。

中公新書 798円

  

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT