キッコーマン、新社長が担う9期連続最高益の重責 「豆乳ブーム」背景に成長戦略を加速できるか

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社長交代の記者会見に臨む堀切功章社長CEO(左)と新社長に就く中野祥三郎専務(右)(記者撮影)

「キッコーマンというと伝統ある会社という評価をいただく一方、なかなか若々しさを感じないという評価もある。ぜひ新社長には若々しく挑戦的に、さらなるグローバル展開を進める方向に進めてもらいたい」

しょうゆ最大手のキッコーマンで8年ぶりとなる社長交代が決まった。2013年から同社を率いてきた堀切功章社長CEOは4月27日の記者会見で、次期社長の中野祥三郎専務に対する期待をそう述べた。

CEO&COOコンビで難局を乗り切る

堀切社長が「伝統」と口にしたように、同社は1917年の会社設立から今年で104年目を迎える。この間、13人の社長が就任したが、創業者一族の出身者は堀切社長を含めて11人を数える。6月に開催予定の定時株主総会を経て14代目の社長となる中野専務も、創業者一族に当たる。

中野専務はこれまで、経理や営業、北米販売会社、プロダクトマネジャーやCFOなどの業務を務めてきた。主要子会社でしょうゆの製造・販売を手がけるキッコーマン食品社長を兼務しつつ、社長COOに昇格する。堀切社長は会長に退くが、CEO職を継続する。

「私は(引き続き)全体統括をするが、業務執行については中野社長に全権を委ねる形で、ある程度分担をしながら経営体制を強化したい」。堀切社長は新体制の意図をそう説明した。

コロナ禍で食品業界は大きく様変わりした。家庭向け商品で巣ごもり需要が発生する一方、業務用商品の販売は外食産業が厳しい状況に陥ったことでマイナス影響を被っている。堀切CEOと中野COOが役割分担することで、この急激な環境変化を乗り切る狙いだ。

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