大成建設の水理実験棟へ行ってみた! 津波による建物の倒壊はどこまで防げるか

✎ 1〜 ✎ 18 ✎ 19 ✎ 20 ✎ 最新
拡大
縮小

水槽は、体育館のような建物の中にあった。長さ35.5メートル、幅17メートルの水槽はいかにも屋内プールと言いたいところだが、まず、水深が浅い。約40センチだという。そして周囲の風景も違う。最先端の研究所というよりは、町工場のようだ。

水深40センチの水槽で、最大の高さが40センチに達する津波を再現できるというこの水槽には、30分の1の縮尺で陸地や建物が設置されている。高さ40センチの波は、12メートルの高さに換算される。沿岸は幅360メートル、奥行きが220メートル。そこに、5~6階建ての建物が2棟建っている様子が、30分の1のスケールになっている。

これがチャンバーだ

沿岸部の向こう正面には、跳び箱のような形の箱が8つ並び、それぞれの底の部分に8個ずつバルブが並んでいる。これが、波形コントロールのキーとなる装置だ。

「いいですか。大きな音がしますが驚かないでください。では、3、2、1!」

ドカン、シャーッ

織田さんがパソコンを操作すると、ドカンという音があたりの空気を揺らした。驚かないでと言われていたのに、驚いてしまう。

シャーッと陸地に津波が押し寄せた瞬間

それから間髪を入れずにシャーッという音がしたかと思うと波が押し寄せ、建物にぶつかった水のカタマリは大きくしぶきをあげ、陸地はあっという間に水浸しになった。ドカンという音は、バルブが開放された音。シャーッという音は、水が流れ出る音である。

もし、水槽の中に立っていたら、体がかなり押されるという。陸地ではそこまでは行かないが、体に沿って波が上がってくるらしい。

次ページスロー再生をすると?
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT