外資導入に本腰を入れる北朝鮮 国内のタンス預金も活用、必死の資金集め

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北朝鮮の東海岸にある羅津港の第1、第2埠頭(2012年)。北朝鮮関係者によると、中国が租借したという事実はないという(AP/アフロ)

北朝鮮は外資を呼び込んで、経済発展を達成できるのか。拉致問題に関する日朝合意が動き出したこともあり、北朝鮮の国内事情、特に「厳しい」とされている経済状況などに関心が高まっている。

海外専門家を招いた経済特区学術会議を開催

これまで日本が独自に規制してきた北朝鮮への送金規制も緩和され、日本からの資金流入も拡大するものと思われる。そういった資金が、北朝鮮の経済活動に生かされるのかどうかは疑問だが、外国からの資金を受け入れる準備を、北朝鮮が行っているのも事実だ。特に昨年から「経済開発区」を全国13カ所に設置し、外資導入に積極的な姿勢を見せている。

中でも、北朝鮮北部の羅先(ラソン)経済特区がその最前線だ。ここには、港湾施設に中国やロシアの資本が入っているとされ、首都・平壌とは違った経済発展の様子も垣間見える。

一時、「中国がカネにものを言わせて羅先港の第1、2埠頭を50年間租借した」という報道も流された。

これについて、今年5月に平壌で経済特区に関する学術会議を開催するために訪朝した際、羅先にも足を運んだカナダ・ブリティッシュコロンビア大学(UBC)のイ・ギョンエ教授は、「羅先港の担当者からは、『中国が同港の第1、2埠頭を租借したという事実はなく、それについての決定もされていない』と聞いた」と打ち明ける。さらに、ロシアについては「『同港の第3埠頭を49年間租借することになったが、ロシア政府が租借するのではなく、ロシアと北朝鮮がロシア側で設立する合弁会社に租借させることにした』と説明してくれた」と言う。

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