スノーデン事件で世界はどう変わったか 諜報活動を活発化している国も

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2014年3月のイベントにビデオ電話で出演したエドワード・スノーデン氏(写真:AP/アフロ)

エドワード・スノーデン氏が、米国国家安全保障局(NSA)の行っていたネット監視問題をめぐる膨大な機密情報を暴露してから1年が経った。これがきっかけで社会では激しい論争が起こり、ドイツなど米国と親密な同盟国からは厳しい批判の声が上がった。自由で安全なインターネットや、情報ネットワークとタブレット端末、ノートパソコンへの人々の見方も変わった。

諜報機関の活動に抑制措置

オバマ米大統領は、市民団体と情報産業に促されて行動を起こしている。1月の演説および大統領政策指令で米国の諜報員らに対し「すべての人は、その国籍や住んでいる場所にかかわらず、尊厳と敬意をもって応対されるべきであり、また、個人情報の扱いに関して正当な権利を有する」ことを認識するよう命じた。

これに伴い、謎に包まれた諜報機関の世界では前代未聞の措置が講じられた。オバマ政権は、諜報機関からの要請の詳細な内容を明かすようハイテク企業が政府に求めた際、その詳細情報を提出するという取り決めを支持。これにより、企業は諜報機関に要請されたデータの件数を、250件、または1000件ごとに公表することができるようになった。

これは確かに初めの一歩ではあるが、十分とはいえない。米国愛国者法第125条に基づいて通話記録を収集するなど、悪名高いNSAのやり方を禁じる条項には、大きな抜け道が残されている。また、米国人の通話記録の大量収集をやめさせる目的で提案された「米国自由法」なる法律は、数々の修正案によって中身が薄められ、結局政府は、個人の同意なしに数百万というメタデータの収集を継続することができるようになってしまった。

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