東日本旅客鉄道(JR東日本)の株主総会は毎年、入口付近に警備員や社員が並び、会場一帯は物々しい雰囲気に包まれる。6月24日、東京都千代田区紀尾井町にあるホテルニューオータニで開かれた今年の総会も、例年どおりの緊張感が覆っていた。
10時に始まると、「監査報告」「対処する課題」「事前の質問に対する回答」と議事が続いていった。が、開始10分あたりから、場内では一部の株主が議事進行の方法をめぐって怒号を上げ始めた。議長役の冨田哲朗社長は、「ご静粛に」と何度も株主に自制を求めた。この流れも毎年のように繰り返される光景だ。
社長が脱線事故を謝罪
前回より100人多い約2000人が出席し、株主からは海外展開や株主還元方針、技術継承や安定・安全輸送への取り組みといった、質問が出た。また、川崎駅で起きた脱線事故については、社長自ら「お客様や株主の皆様にご心配、ご迷惑をおかけしたことを申し訳ないと思っている。謝罪させていただきたい」と述べるなど、安全・安定輸送の拡充への決意を改めて表明した。さらに、羽田アクセス線についても、踏み込んだ発言が飛び出した。
会社議案である、期末配当60円(年間120円)を決めた剰余金処分、取締役18人の選任、役員賞与1億8662万円の支給の件などが可決され、株主側の提案9本はすべて否決された。開催時間は3時間01分。3時間超の総会が恒例となっているが、昨年の3時間13分、一昨年の3時間26分よりは短かった。
主なやり取りは次ページのとおり。なお、会社側の回答者は複数の人物が登壇したため、特に記載していない。
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