「彼を待っていた」サントリー佐治社長を直撃 創業家以外で初。次期社長はローソン新浪会長に

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ローソン社長を12年務めた新浪剛史氏。サントリーホールディングスの次期社長に就く予定(撮影:尾形文繁)

「早晩、新社長を抜擢したい」――。

5月15日、米蒸留酒大手ビーム社の買収完了を受けて行った会見で、サントリーホールディングス(HD)の佐治信忠社長はこう述べていた。佐治氏が創業家4代目社長に就いたのは2001年。在任期間が10年を超しており、かねて14年の社長交代を示唆してきた。そして、明らかになった後継社長は、ローソンの新浪剛史会長(55)だった。

ローソン社長を12年にわたって務めた新浪氏は、今年3月にトップ交代を発表したばかり(関連記事「ローソンの飛躍を宣言した新社長の重責」)。5月27日に代表権のない会長に退いてからは、「いろんなところからオファーが来ていた」(ローソン関係者)という。

3年前、サントリーの佐治社長はトップ交代の時期について、「あと2~3年と時間を縛っている。バトンタッチにはいい時期。持ち株会社にしたのは次の社長候補を見つけるためでもある」とも述べていた。

なぜ新浪氏を選んだのか

しかし、今年1月にビーム社の買収を発表。買収金額は1.6兆円で、サントリーにとっても紛れもない大勝負を仕掛けた。この巨額買収が完了していなかった2月17日の決算会見では「(任期である)この3月で社長を退任することはない」と話していたものの、買収が完了すると「新社長を抜擢したい」と口ぶりが変わった。

5月の会見では抜擢を示唆すると同時に、「(買収した)ビームサントリーの事業がスタートしたばかり。もう少しホールディングス全体を見ていかないといけない」とも述べていた。その言葉通り、今回のトップ交代で次期社長は新浪氏が就き、自身は代表権を持つ会長として「全体を見る」という立場になる意向だ。

創業家が社長を務めてきただけに、後継候補は鳥井信一郎前社長の息子で、サントリー食品インターナショナル社長の鳥井信宏氏(48)と見る向きもあった。だが、佐治社長の選択は創業家でもなく、内部昇格でもなく、新浪氏だった。

決断の背景には何があったのか。佐治社長が自宅前で答えた。

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