新駅開業で大注目「綱島」再開発でどう変わるか 東急新横浜線が22年度開通、道の狭さが課題

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公共交通機関の利用実態などを調査する国土交通省の「大都市交通センサス」の2015年度調査のデータによると、定期券利用客は綱島からの「乗車」が圧倒的に多い。これは駅周辺が通勤の目的地になっていたり、大規模な集客施設があったりするのではなく、ベッドタウンであることを示している。

また、定期券利用客の居住地と駅へのアクセス手段を見ると、半数近い46%が綱島西・綱島東地区から徒歩または自転車を利用している。また、綱島駅利用者全体の70%は徒歩によるアクセスである。駅から徒歩圏内に多くの人が住んでおり、中でも駅至近のエリアに集中して居住していることがうかがえる。

確かに、綱島駅付近の住宅地はマンションやアパートが多く、人口密度が高い。同様に、1日当たりの乗降客数が約10万人で乗り換え路線のない駅のデータを「大都市交通センサス」で参照すると、北浦和駅(JR京浜東北線)や西葛西駅(東京メトロ東西線)が似た傾向を示している。どちらも駅周辺にマンションが多いことが大きな特徴だ。

 

また、駅南側に鶴見川、西側には早渕川が流れており、新吉田や駒岡といった駅東西2km圏内の川の両岸に広がるエリアの住民も、平坦な道を利用して徒歩や自転車で綱島駅にアクセスする。さらに、北隣の日吉駅との駅間が約2.2km(東横線で最長)と離れていることから駅勢圏が広い。

だからこそ特別な施設や、自治体の中心的な機能があるわけではないものの、乗降客が多いのである。

もともとは温泉地だった

現在でこそ住宅地ではあるが、東急東横線が開業した1920年代の綱島は温泉地として売り出していた。

1914年、いまの駅所在地から鶴見川をはさんで対岸にある現在の樽町地区にラジウム泉の湧出が発見された。東京横浜電鉄(現在の東急東横線)は綱島地区に開業する駅名を「綱島温泉」とし、駅近く(のちに「東京園」となる場所)には日帰り入浴施設を設け、温泉地としてアピールした。

また、明治時代から栽培されていた桃や鶴見川堤防の桜をはじめ花見もできるとあって、東京近郊の保養地としてにぎわった。現在の綱島街道が開通した1930年代以降、綱島は温泉地としてだけでなく都市化が進んでいく。

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