4期連続減益に、ゴマ油「かどや」の苦境 老舗企業を襲う世界的な原料高騰の波

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厳しい表情で決算を発表した小澤社長

そこで、かどやは6月から実施する値上げについて、業務用と輸出用製品に限定。家庭用の価格は据え置き、販売数量の回復を優先する。が、「それでも原料高の影響をすべてカバーはできない」(小澤二郎社長)。

今年度中にもう一度値上げに踏み切る予定だ。その際、家庭用も含める場合には「値上げを受け入れてもらえないところへは納入辞退も考える」(小澤社長)と言う。

国内依存から脱却図る

海外市場の開拓も進めている。2013年度の海外売上高は30億円、海外売上高比率は13%と規模は大きくないが、特にアジア系移民が増加している北米ではプライベート製品を中心に順調に数量が伸びているという。現在、海外での販売分はすべて日本で作ったものを輸出しているが「北米では現地生産も検討している」と小澤社長は話す。

早期に海外売上高を40億円まで引き上げる目標を掲げており、和食ブームなどでゴマ油の需要が高まっているヨーロッパや、ハラル認証(イスラム教の食品規格)を取得して中東各国などの市場開拓などに力を入れる計画だ。

ただ、6月の値上げが思うように進まなければ、ますます厳しい状況に陥る。かどやの経営陣にとって、頭の痛い局面が当面続きそうだ。

田野 真由佳 東洋経済 記者

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たの まゆか / Mayuka Tano

2009年に大学を卒業後、時事通信社を経て東洋経済新報社に入社。小売りや食品業界を担当し、現在は会社四季報編集部に所属。幼児を育てながら時短勤務中。

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