TOEIC満点でもスピーキングを怖がるワケ 日本の英語教育を変えるキーパーソン ソレイシィ(3)

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 こんにちは、安河内哲也です。今回は、20年以上にもわたって日本人に英語を教えておられる、アメリカ出身のスティーブ・ソレイシィ先生へのインタビューを4回にわたってお届けします。ソレイシィ先生は、日本人が英語を話せるようになるために、日々さまざまなメディアを通じて活動されています。
※インタビュー(1)はこちら。(2)はこちら。
 前回に続きます。

スカイプも利用して対面式テストを

安河内:TOEICスピーキングテストは、IBT(Internet-Based Testing)です。

ソレイシィ:このテストは、パソコンを使うことで受験の機会を増やし、コストを抑えることに成功したと言えるでしょう。ETS(Educational Testing Service/TOEICやTOEFLを含む、何百ものテストプログラムを開発する世界最大級の非営利テスト開発機関)の質の高いテスト作りには定評がありますしね。でも、パソコンに話しかけるというのには、少し違和感があるかもしれません。 やはり、本物の会話とは違いますから。

目の前に相手がいて、たとえばこういう彫りの深い人が目の前にいても(笑)、ちゃんと話せることが、おそらく信憑性あるスピーキング力なのだと思います。理想論だけを言ってもしょうがないですが、将来は対面式のテストが実現すればいいと思っています。実際の対面が難しければ、スカイプやテレビ電話を使うようにするだけでも大きな進歩になるでしょう。

安河内:将来的にはETSのスピーキングテストも、スカイプを使ったりして、対面式のものに変わっていくかもしれませんね。

ソレイシィ:ええ。それから強調して言っておきたいのですが、まず完璧なテストなど存在しないということと、さまざまなタイプの複数のスピーキングテストが共存していくだろうということです。

年間230万人以上が受験するというTOEIC(LR)テストのような巨大なペーパーテスト群に比べたら、年間受験者数1万人というごく小規模のスピーキングテスト群です。試験改革という大きなバトルに一緒に立ち向かう同士というか、We are all brothers.で、兄弟みたいなものですね。 スピーキングテストという進化系のテストを浸透させるために力を合わせたいところです。

でも実際は、今は日本の大半の人は、スピーキングテストに興味はあるものの、寄りつきもせず避けて通っている気がします。

次ページ日本人にはスピーキングに心理的な壁がある
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