「日本語に合った英語」に転換しよう

日本の英語教育を変えるキーパーソン ソレイシィ(1)

 こんにちは、安河内哲也です。今回は、20年以上にもわたって日本人に英語を教えておられる、アメリカ出身のスティーブ・ソレイシィ先生へのインタビューを4回にわたってお届けします。ソレイシィ先生は、日本人が英語を話せるようになるために、日々さまざまなメディアを通じて活動されています。 

英語→日本語から日本語→英語へ

安河内:初めまして。今日はよろしくお願いいたします。早速ですが、日本人の英語力をもっとアップさせるためには、どのようにすればよいとお考えか、ざっくばらんにお聞かせください。

ソレイシィ:わかりました。まず、これから日本のみなさんもさらに英語を使う時代に入ってくると思います。そんな中で意識すべきなのは、英語をtransplant in Japan(日本に移植する)ということでしょう。これは、教養のある日本語母語話者として、自分たちがどんな英語を使うと快適なのか、無限にある英語表現の中から、どれが日本語の語感やコミュニケーションの仕方にピッタリなのかを考えていくということです。

言い換えれば、「英語から日本語へ」という従来の日本の英語教育が逆の方向に変わっていくことを指しています。英語をインポート(輸入)して日本語に訳していく、という方向から、日本語を「語感に合った英語」「日本の国民性に合った英語」にしていくという方向への転換です。 

日本には、セブン-イレブンのような米国初のコンビニがたくさん普及しましたよね。なぜ普及したかといえば、日本に合った形のコンビニに変容したからです。英語も同じで、「ネイティブが話したい、使いたい言葉」ではなく、「日本、そして日本語に合ったかたちの英語」でのコミュニケーションが大切なのです。

日本語に合った英語とは?

スティーブ・ソレイシィ(Steve Soresi)
ソレイシィ研究所代表CEO
1968年、米ワシントンD.C生まれ。青山学院大学大学院国際政治学研究科博士課程(PhD.)修了。英語教育研究機関である同研究所の代表として、企業や一般向けの英語セミナーや講演会などを開催するほか、ビジネスブレークスルー大学教授、NHKラジオ『英会話タイムトライアル』講師を務める。独自のスピーキングテスト「SPM Interview Test」を開発した。主な著書に『英会話ピッタリ表現でぃくしょなりぃ』(語研)、『英会話1000本ノック』(コスモピア)、『ネイティブなら日本のきちんとした表現をこう言う 英会話きちんとフレーズ100』(アルク)などがある。最新刊は『英会話1000本ノック 本番直前編』(コスモピア)。

安河内:変容とは、日本に英語をtransplant(移植)させるため、日本人にとって、日本語からの変換が容易な英語を使うことを指すのですね?

ソレイシィ:はい。必ずしも変換が容易かどうかはわかりませんが、日本語をベースにした英語、日本語の感覚に合った英語が大事になると思います。World Englishesという言葉がありますが、Englishが複数形になることからもわかるように、世界にはたったひとつの「正しい英語」があるのではなく、「文化や母語に合わせて変容した英語」が複数あるのだという考え方です。

安河内:日本語の母語話者が、日本語をベースにして変換しやすい英語というものを無限の英語表現の中から選んで、自らが覚えやすいようにしていくわけですね。

ソレイシィ:覚えやすいというのと、快適に使えるという両方の側面がありますね。

安河内:ああ、なるほど。よく「Thinking in English(英語で考える)」と言いますけれども、私も含めて多くのノンネイティブスピーカーは「We first think in our own language.」ですから、最初は、母語からパッと変わるようにすれば便利ということですよね。

ソレイシィ:そうですね。私も「Thinking in English(英語で考える)」と、「cross lingual(言語横断:日本語から英語へ)」は、両方正しいと思っています。そのうち日本にも「Thinking in English」ができる人が増えると思います。

でも今は、まず言いたいことを日本語で整理して、それを上手に英語に置き換えていける人がまだ少ないですよね。ですが、繰り返しトライしていくうちに英語での発信に慣れていきます。そのステップの中でも、「which English(どの英語を)使うか?」が大事なのです。無限の英語表現の中で、どの英語が自分の言いたいことにピッタリ当てはまるのか、残念ながら、わかっている人がまだ少ないように感じます。

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