英語入試問題であなたも知の冒険に

入試問題、あなたはどれだけ解けますか?

 難関大学の入試問題が、高校生の学習目標としてふさわしいかどうかという議論がありますね。アイテムの選択の妥当性が疑問視されたり、難易度の調整の雑さが指摘されたりします。しかし、今回は堅い議論は抜きにしましょう。英語教育のことを忘れて、ひとりの英語マニアとして楽しむならば、難関大学の入試問題ほど楽しめるものはありません。TOEFLやTEAPのような、標準化され、計算され尽くした優等生試験では決して味わうことのできない、意表をつく、手作りの問題を楽しむことができますよ。
 時には、「グローバル人材」「妥当性検証」などというお堅いことは忘れて、日本特有の受験英語の世界に浸ってみるのもオツなものです。今回は最新の入試問題の世界へと、冒険に出かけましょう。英語教師や英語を専門職とするあなたもきっと驚くはず! TOEICで満点が取れる皆さんやアイビーリーグの大学を卒業した皆さんでも、正解は難しいかも? 手応え抜群ですよ。スタンフォード大修士の編集長、佐々木さんは何問解けるかな? Enjoy!

戦前の英語で文法を学べ!

まずはこの問題、大御所、東京大学の2014年、最新の問題です。推奨解答時間は3分間。英語に自信のあるあなた、さあ、やってみましょう!

次の下線部(1)~(5)には,文法上あるいは文脈上,取り除かなければならない語が一語ずつある。解答用紙の所定欄に,該当する語とその直後の一語,合わせて二語をその順に記せ。文の最後の語を取り除かなければならない場合は,該当する語と×(バツ)を記せ。カンマやピリオドは語に含めない。
(1)Of all the institutions that have come down to us from the past none is in the present day so damaged and unstable as the family has.
(2)Affection of parents for children and of children for parents is capable of being one of the greatest sources of happiness, but in fact at the present day the relations of parents and children are that, in nine cases out of ten, a source of unhappiness to both parties.
(3)This failure of the family to provide the fundamental satisfaction for which in principle it is capable of yielding is one of the most deeply rooted causes of the discontent which is widespread in our age. (以下略)
(2014 東京大)

 

チンプンカンプンな人は、以下の日本語訳をヒントにしてみましょう。

【訳】過去から私たちに受け継がれてきたあらゆる制度のうち,今日では家族ほど損なわれ不安定になっているものはひとつもない。親の子供に対する愛情と子供の両親に対する愛情は幸福の最大の源のひとつになりうるが,実際は今日の親子関係の9割方は両者にとって不幸の源になっている。家族が原理的には産むことができるはずの満足を与えられないということは,現代に広がっている不満の最も根深い原因のひとつである。

さて、どうでしたか? 以下は答と解説です。あなたの答は当たっているでしょうか?

【答】

(1) has / ×

カンマがないのでわかりにくいですが、pastまでが文頭の副詞句となっています。したがってこの文の主語はnoneですね。続く述語動詞はis(so damaged)です。さて、than以下の比較対象に目を向けてみると、the familyの直後にはhasが続いています。主節との動詞の一致を考えるならば、ここは本来than the family is(damaged)となるべきですね。比較対象の部分では重複している部分は省略可能ですから、ここではis以下を略すことができ、familyで止めることができるわけです。したがって、解答としては、hasを略せばよいわけですね。

(2) that / in

新聞社・出版社などで日常的に英文校正の仕事などをされている方であれば、比較的簡単な問題だったと思います。しかし、古い複雑な文を読み慣れていない方は、いろいろなところが間違いに見えて混乱したかもしれませんね。これは単純にareの補語がa sourceなのですから、thatが必要ないということですね。be動詞と補語の間に副詞句が挿入されているので、さらに見抜きにくくなっています。とはいっても、英語関係の書籍の出版などに携わる人であれば、このミスは見抜けなければなりませんね。

(3) for / which

これは難しいですね。関係代名詞の用法とyieldという動詞の使い方を完璧にマスターしていないとできない問題です。1分以内で答をはじき出すのは至難の業でしょう。関係代名詞の目的格の直前に置かれる前置詞は、後続する節の動詞(句)に続くものが移動したものです。また、その目的語は直後の関係代名詞が代用している先行詞となります。もしも、このfor whichが正しいものであるならば、×yield for the fundamental satisfaction×という表現が可能になるわけですが、yieldが「~を生む」という意味で使用される場合には、他動詞なので、forは必要ありません。

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