みんなが広めたくなる、クチコミの仕掛け方

なぜ、あの人のクチコミは影響力があるのか?

みんなが知っているから、そのことを話題にしたくなる、ということを考えるうえで、重要なキーワードに「バンドワゴン効果」があります。これは、同じ製品・サービスを持っている人が多いほど効用が高まる効果を指します。バンドワゴン効果があるなら、流行しているものはますます流行していきます。

行列のできるパンケーキ店や、ツイッターの人気ユーザーを考えて見ましょう。パンケーキ店に行列ができているということは、きっとおいしいのだろう、並ぶ価値があるのだろうと人は考え、こうした人たちが行列に並ぶことによって、さらに行列は長くなっていくのです。

同様に、あるユーザーのフォロワーが多いということは、 その人のつぶやきに価値があり、おもしろいのだろう、と消費者が考え、フォロワー数はどんどん伸びていきます。こうして考えると、すでにある程度メジャーで話題になっている製品サービスは、さらにクチコミされてより一層話題になりそうです。

ある程度の「メジャー感」がないと、人は話題にしない

消費者は自分の周囲を見渡して、製品サービスの「メジャー感」を見極めます。ここでいうメジャー感とは、知覚された認知率、つまりある製品サービスがどれくらい認知されているかに関する消費者の予想です。認知率と知覚認知率の関係は、温度と体感温度の関係にも似ています。ある製品・サービスがどれくらい社会において認知されているかは、通常「認知率」として企業や調査機関によって把握されています。

しかし、消費者自身はある情報の認知率(つまり情報の普及度)を正確に把握しているわけではありません。消費者は、「世間でどれぐらい知られているのか」を主観的に知覚し、知覚された認知率によって行動していると考えられます。

消費者が周囲を見渡して、周囲がどれくらいある行動を採用しているかを見極めてから行動することを分析した研究として、マーク・グラノベッターの「閾値(いきち)」の研究があります。この研究の前提は、「人々の採用行動は社会において、すでにその行動を採用している人々の割合で決まる」、というものです。

グラノベッターはこのモデルを説明する事例として暴動の参加を取り上げています。つまり、参加の閾値(=スイッチが入る最低限の値)が、行為者によって異なると論じています。ラディカルな人は低い閾値を持っているため、暴動の参加者が少なくても暴動に参加します。一方、保守的な人は高い閾値を持ち、暴動参加率がたとえば80%~90%に到達した時点で、ようやく暴動に参加するでしょう。

この事例は暴動の参加ですが、閾値モデルはイノベーションの採用の有無や噂の伝達の有無、大学進学の是非といったあらゆる意思決定に適応可能です。

たとえば大学進学の例では、高校生は周囲を見渡し、周囲の友人のうち何%が進学するかを見極め、その割合によって自分自身が進学をするかどうかを決定する、というようにモデル化することができます。こうした行動は大学進学のみならず、製品の採用やクチコミ情報の受信にもあてはまると考えられます。

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