"PCの負け組"あのAMDが苦境を脱却? グローバル事業統括リサ・スー副社長が語る新戦略
――スマートフォンの普及により、PC業界は大きく変わりました。
過去5年間を振り返ると、半導体業界は大規模な変革を遂げている。AMDの12年度売上高はPC用半導体が9割を占めており、事業の多様化が経営課題だった。当社は基本的な技術として、プロセッサとグラフィックスの領域で強みを持っている。これを生かせば、まだまだ成長のチャンスはある。
従来のPC関連ビジネスの強みは維持しつつ、新しい市場としてゲーム機やサーバー、組み込み用半導体の新規開拓を進めていく。13年度はPC以外の売上高を30%に引き上げ、15年までにPC分野とそれ以外を50対50にすることが目標だ。11年8月にはロリー・リードがCEOに就任して進化を遂げてきたが、やるべき改革を終えるためにはあと数年間かかる。
――今後のPC市場をどう見るか。
これから数年間、PC市場は縮小するだろう。特にノートPCはタブレットとの競争関係で減少が進むが、デスクトップや業務用PCは比較的安定すると見ている。長期的な成長を考えるとPC分野にも投資は継続するが、最適なバランスがとれたポートフォリオが重要となる。グラフィックス分野に加え、サーバーや組み込み分野ではカスタム半導体が大きな成長領域になると考えているので、その分野の投資をさらに強化していく。
モバイルに今後の成長チャンス
――PC以外の分野での戦略は?
モバイル市場は大変重要で、今後も成長のチャンスがある。競争の激しいスマートフォン関連の投資は考えていないが、タブレットやコンバーチブルデバイス(画面とキーボードが2つに分かれたPCなど)といったモバイル製品にはチャンスがある。
AMDのコンセプトは「妥協なきタブレット」で、ハイエンド製品では私たちの技術を有効活用できると考えている。現行のタブレットは、ほとんどがインターネットのブラウジングに使われていて、生産性の高い作業になるとノートPCに戻ってしまう。しかし3~4年後はタブレットやコンバーチブルデバイスの可能性が拡大し、より生産性の高い経験ができるようになる。音声認識やジェスチャー認識、顔の表情認識といった新しいユーザーエクスペリエンス(顧客体験価値)も出てくるだろう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら