マイクロソフト「ゼロ円ウィンドウズ」の衝撃 ウィンドウズの無償化でスマホの勢力図は変わるか

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3時間におよぶキーノートの最後に登場したサティア・ナデラCEO

4月2日、マイクロソフトのサティア・ナデラCEO(最高経営責任者)は、集まった5000人の開発者に向け、質疑応答の形で”新しいマイクロソフト”の考え方について語りかけた。この日、初日を迎え4日まで行われた「BUILD」というイベントは、ウィンドウズビジネスにおける新たな事業基盤構築を標榜して開始。今回で4回目になる開発者向け会議である。

マイクロソフトはウィンドウズやオフィスといったパッケージソフトウェアの販売を中心とした従来の事業形態から、新たにクラウド上のサービスとそこに接続されたデバイス群をサポートする事業形態への転換を模索している。

たとえば看板商品のビジネス向けパッケージソフトである「オフィス」は利用料を支払えば、端末や基本ソフトの種類を問わずソフトが利用可能になり、複数機器を連動させるためのサービスも利用可能になるサービスへの転換が進んでいる。現在開発中の新オフィスは、さらにサービスの色合いが濃くなると言われている。

パッケージ販売から利用料モデルへ

ナデラCEOは3月27日にiPad向けオフィスを発表したが、これも上記戦略の一環といえる。オフィスというパッケージソフトの販売ではなく、サービスの加入料を元にした製品ならば、ウィンドウズ用のパッケージ販売にこだわるよりも、ありとあらゆる場所でオフィスが活用できる利便性を提供する方が理にかなっている。

BUILDでは、こうしたマイクロソフトの事業転換が、同社のもう一枚の看板商品であるウィンドウズをどのように変えていくかが明らかになった。ウィンドウズ事業転換の柱は大きくわけて2本の柱がある。

「ユニバーサル・ウィンドウズ・アプリ」により、1つのアプリがさまざまなサイズの画面に対応できる

ひとつめの柱は「ユニバーサル・ウィンドウズ・アプリ」を定義し、パソコン用はもちろん、タブレット、スマートフォン、ゲーム機(Xbox360、Xbox One)でも同じアプリの動作させることを可能にしたことだ。スマートフォンについてはこれから数カ月以内に提供開始予定の「ウィンドウズフォーン8.1」から対応する。

ウィンドウズ向けに開発したアプリケーションは、画面サイズや機器の種類を問わず動作させることが可能になるが、これに伴いパソコン向けウィンドウズの機能強化も発表された。4月8日に無償配布されるウィンドウズ8.1アップデートは従来からのパソコンユーザーに配慮した改良が施され、ユニバーサル・ウィンドウズ・アプリが使いやすくなるよう、操作性が改良されている。

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