法人減税の機運は高まっている 政府税制調査会法人課税DGの大田弘子座長に聞く
大きかった安倍首相のダボスでの発言
――今年4月から消費税率が8%に引き上げられ、来年10月にはさらに10%への引き上げが予定されています。そんな折に、なぜ法人減税なのでしょうか。
将来の雇用を生むためには企業が日本国内にないといけない。国内に成長企業を少しでも多く残し、海外から企業を呼び込むことが目標だ。これだけ経済がグローバル化すると、企業が国を選ぶ時代になっている。企業はまず、自分の国に立地するのか、海外に行くのか。海外ならどの国に(拠点を)置くのかを考える。
どの国も、(企業の)立地場所としての環境をなるべく魅力的にする。なおかつ税収も上げないといけない。このジレンマの中で法人税改革を行っている。これはドイツもイギリスもアメリカも同じだ。だから、日本もグローバル化の中で、法人税がどうあるべきか、真剣に考えないといけない。
もう一つ重要なのは、税率を単に下げるのではなく、同じ税負担であっても、誰がどう負担するのかであり、なるべく広く薄く負担するのが望ましい。
いま法人税を負担している企業は全体の3割程度しかない。資本金1億円以上の企業は全体の1%だが、ここが税収の6割を負担している。これはいくらなんでも偏りすぎだ。さらに、租税特別措置も、旧来型産業に有利なものが残っている。こうした点を見直す。そうすることで、新しい産業分野が興りやすくなる。