あのファナックが情報発信を活発化?

年次報告書に会社案内、そして新卒採用ページも

以前の会社案内冊子の1ページ目にあった、稲葉清右衛門名誉会長と息子である善治社長のツーショット写真(左)が、今回、ホームページ上に掲載された最新の冊子(右)にはなかった。

売上高5000億円、営業利益率4割弱を誇るファナックで創業以来の変化が起きたのは昨年10月(関連記事「ファナック"大異変"、カリスマついに引退」)。実質創業者の稲葉清右衛門名誉会長が主要な役職を退いたことの影響なのか、社内外に変化の兆しが見られる。

対外的な変化は、情報開示の姿勢だ。これまで同社は業績動向について、決算短信や有価証券報告書など必要最低限の開示しかしていなかった。最高益を達成した2012年3月期には、同年4月に東京証券取引所(東証)で会見をしたが、それ以降は行っていない。そうした中、今年の2月6日になぜか13年3月期のアニュアルレポートをホームページに掲載した。

また、3月31日に会社案内冊子を自社サイトに掲載。ファナック広報部によれば、この掲載は「3年ぶり」という。冊子では、昨年10月に行った組織改編後の全体図や、その時点では公表していなかった取締役すべての業務担当も載せている。

新卒採用を拡大か

この組織改編では6本部長体制となり、名誉会長の息子である稲葉善治社長以下、副社長の3人と専務2人が本部長に就いている。以前は販売、製造、研究、経営の4本部長体制で、そのうち研究と経営の本部長だった名誉会長が、今回はどの本部長でもないということが最大の変更点である。

また、新卒採用の仕方にも”変化”が見られる。2月28日に新卒採用のエントリーページを開設しており、こちらも「3年ぶり」(広報部)。『就職四季報』(小社刊)を見返すと、以前は100人前後を採用していたが、リーマンショック後の10年入社の新卒採用以降、その数は30人前後に縮小している。

例えば、09年4月入社の採用実績校は32校だったものが、13年4月入社では、清右衛門氏の出身校である東京大学のほか、大都市圏にあるの国立大学5校だけになっている。しかし、現在進行中の15年入社の採用活動では地方の大学でも説明会を実施。この4月に入社した社員数は「30人前後」(ファナックの社員)とされ、来年の新入社員は「大幅に増えると聞いている」(同)という。

14年3月期は2期連続の減収減益の見込みだが、工作機械の需要が国内外で徐々に回復しつつあり、15年3月期にかけて業績は上向きそうだ。採用を拡大するつもりなら、業況の改善を反映したものともいえる。しかし、エントリーページ開設の狙いや採用方針について、会社側は「ノーコメント」(広報部)だった。

注目の決算発表

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「狼屋」と名付けられたファナックパブや「ローマ風呂」など変わった名前の社員用施設がある(最新の会社案内冊子より)。

対外的な変化だけでなく、中での変化もあるようだ。同社は無借金で高い利益率を誇っているが、この3月には「(高収益の源泉である)NC装置のビジネスモデルは安泰ではない、という旨のメッセージが社内で掲示された」(前出の社員)。こうした社長からの情報発信は異例だという。

確かに競争環境は厳しくなっている。国内の大手工作機械メーカーは、三菱電機や独シーメンスといった競合他社製品の採用を拡大。今後NC装置の需要が高まる中国でも政府主導で国産化の流れが強まっている。

ファナックの株式時価総額は4兆円超と国内製造業ではトヨタ自動車、JT、ホンダ、デンソーに次ぐ規模。NC装置の世界シェアで5割以上を握る同社の業績動向は、株式市場でも注目度が高い。ホームページの変化からすると、対外的な情報発信のさらなる活発化も期待される。

その姿勢を試されるのが、4月25日に予定される14年3月期の決算発表だ。今回、稲葉社長は東証の会見場に現れるのか、富士山麓の忍野村の本社で説明会を開くのか、それとも従来通り、決算短信の発表だけで済ませるのか。

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