動画で”就活革命”を目論むスタートアップ 「5秒の動画」で採用を決める時代はくるか

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動画採用は書類選考よりも10倍早く、9倍安い!

海外ではHire Vueという動画採用サービスがあり、すでに約50億円を調達している。Hire Vueはデジタルインタビュープラットフォームという言われ方もしており、「今までの書類選考よりも10倍早く、9倍安い!」と明言しているという。

1度始まった面接は、面接後の印象ですぐに不採用を心に決めたとしても、30分から1時間ほど実施するのが暗黙の了解だ。動画採用により、会ってみたい応募者にだけ会うようにすると、工数は圧倒的に削減できる。遠方からの応募者に交通費を支払うこともあるが、会ってみたい応募者に絞れば、そういう採用にかかる副次的なコストも削減できる。

話をrecmeに戻すと、動画採用というまだ不慣れな採用手法において、導入企業のサポートが不可欠であるという。企業が学生の動画を見てスカウトしてみるなど、手をかければかけるほど選考や採用につながりやすい。当面はrecmeをどう運用すればいい応募者を採用できるかという運用力を身に付けることが、企業にとっての課題となる。

動画採用のようなホワイトカラーの生産性を向上させるツールが浸透することで、よりホワイトカラーがクリエーティブな仕事に従事する時間を生み出すことができれば、それは社会的に価値の高いサービスになるであろう。

【梅木雄平のスタートアップチェック (各項目を1~5で採点)】
●経営陣:3.8 学生時代に起業し、苦労を重ねてきた飯田悠司氏の粘り強さに期待。
●市場性:4.0 現状の新卒採用市場だけでは小さいが、アルバイト層にまで動画採用は浸透する可能性があることを織り込むと、市場規模はそれなりに膨らむ。
●利益率:3.6 動画採用ツールの提供であり、採用成果報酬モデルであれば、導入企業が増え、サポートがあまりかからずに手離れがよくなれば、利益率は上がっていく構造にある。当初はサポートにわりと手がかかると予想する。
●競争優位性:4.5 すでに新卒向け人材事業を手掛けており、クライアント側も学生側も押さえていることから既存事業とのシナジーが効く。ぽっと出のスタートアップにはまねできない競争優位性がある。
●海外展開力:3.0 現時点では海外展開が見える段階ではないが、海外にはHire Vueという50億円の資金調達をしている動画採用スタートアップがすでに存在する。recmeが海外で優位性を持てるかは現時点では判断できない。
●総合点:3.7 動画採用領域はほかのスタートアップの参入のうわさも耳にするが、利用する応募者と導入企業へのチャネルをすでに持っていて競争優位性が高いことから、日本で動画採用が浸透するのであればrecmeがそのデファクトスタンダードを取ると予想する。

 

梅木 雄平 The Startup編集長

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うめきゆうへい

慶應義塾大学卒業後、サイバーエージェント子会社にてベンチャーキャピタル業務などに従事。複数のスタートアップ企業での事業経験を経て、2011年フリーランスとして独立後2013年に株式会社The Startupを設立。スタートアップ業界のオピニオンメディアThe Startup編集長を務める。著書に『グロースハック』がある
 

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