日本がこの先もずっと低成長しか望めない理由 労働力が減って実質成長率はせいぜい0.6%

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政府の高い成長見通しを反映して、税収も高い伸びになっています。

安倍晋三首相は1月20日の施政方針演説で、「来年度予算の税収は過去最高となりました。公債発行は8年連続での減額であります」と述べました。

確かに、2020年度の税収見通しは、63.5兆円で過去最高です。しかし、これは、かなり高い経済成長を想定しているからです。

2019年度当初予算でも、62.5兆円の税収を見込み、安倍首相は施政方針演説で、「過去最高」としていました。しかし、実際には、法人税などが落ち込んだため、補正予算で60.2兆円に下方修正されました。

2020年度も同様の結果となる可能性が高いと考えられます。

このように、経済成長率の見通しは、さまざまな政策の評価に大きな影響を与えます。

1年間の予測ですらそうなのですから、長期にわたる経済成長率の予測は、政策評価に大変大きな影響を与えます。

そこで、日本の長期的な成長率はどの程度の値かについて、さらに立ち入って考えましょう。

経済成長を考える基本式 

一定の仮定の下で、経済成長に関する次のような基本式(以下、基本式Aとします)を導くことができます。

実質経済成長率​
=ax(労働の成長率)+(1-a)×(資本ストックの成長率)+(技術進歩率)
 …… 基本式A

つまり、労働や資本、ストックが増えれば経済が成長するが、それだけでは説明できない要因による影響もあるということです

次ページ労働分配率は0.6程度
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