習政権が工場爆破令、豪腕に地方政府が震撼

過剰投資を抑え安定成長への転換を狙う中国

河北省では、過剰設備とみなされた工場の爆破が行われた。写真は河北省の廃墟工場(ロイター/アフロ)

2月23日朝、河北省の五つの主要都市で轟音が鳴り響いた。「過剰生産設備」と見なされた鉄鋼工場が一斉に爆破されたのだ。

この日だけで、15社の鉄鋼メーカーの設備が破壊され、河北省の粗鋼年産能力は820万トン減少。派手な爆破の様子は当日昼のニュースで全国放送された。昨年11月に続き、これが2回目だ。また、2月17日には省都の石家荘市内で、セメント工場が対象の「爆破パフォーマンス」があった。

北京市と天津市をぐるりと取り囲む形の河北省は中国有数の重工業地域で、最近、中央政府から厳しい指導を受けている。首都北京を覆う大気汚染物質、PM2.5の主な発生源であるうえ、中国経済の宿痾である過剰生産の象徴とされているからだ。

国務院は昨年10月、鉄鋼やセメントなど五つの業種を名指しし、過剰生産設備の削減を進める方針を示した。中国工業・情報化部の毛偉明次官は2月18日の記者会見で、5業種について「2017年まで生産能力の拡張は認めない」と断言している。

鉄鋼は明らかな供給過剰

中でも鉄鋼の膨張は深刻で、粗鋼生産は昨年、前年比7.5%増の約7.8億トンに達した。実に日本の7倍だ。

だが、政府発表では稼働率は7割前後で、明らかな供給過剰に陥っている。現地の報道では、河北省だけで12年末で約2.9億トンもの年産能力があったとされる。

同省での過剰生産は、胡錦濤前政権時代からの懸案だった。清華大学政治学部の張小勁教授は「胡政権もこの問題に取り組んだが、逆に河北の鉄鋼生産は増えてしまった。今回、削減を実現できたのは習近平政権の基盤の強さを示している」と語る。

今回の爆破処分の対象になったのは、大半が中小の民営企業。中には、補助金をもらって海外への進出を促された例もあるようだ。

中国全体の13年の成長率は7.7%。他国に比べて高いとはいえ、かつての二ケタ成長から確実に減速している。そうした中、昨年来の河北省に対する“集中砲火”は、ほかの地方政府を震撼させた。目先の成長率引き上げのため、野放図な投資を許してきた地方政府には、強烈な見せしめとなった。

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