ワタミ渡邉会長、「88歳までやる」宣言のわけ 「ブラック企業」批判にどのように応えるのか

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高齢者向けの宅配弁当事業は、2008年にタクショク社を買収して参入した。弁当を製造する工場を増やして販売網を全国規模に拡大し、買収時の67億円だった売上高を2019年3月期には367億円へ、5倍に伸ばした。

現在ある11工場は、すべて6年以上前に稼働したものだ。そのため、「宅食事業の投資は終わっている。売り上げが伸びた分の多くは利益になる」(渡邉氏)。2019年3月期に1日あたり22万6000食だった食数を、3年後に30万食に増やす算段だ。

具体策については「11月の中間決算のときにお話しする」として明かさなかったが、外部のコンサルティング業者も活用して本腰を入れているようだ。

アメリカと中国で2000億円売り上げ目指す

主力事業である国内外食事業では、これまでワタミ本部が直営方式で「和民」「鳥メロ」「ミライザカ」などを展開してきたが、今後はフランチャイズ方式での出店を中心にしていく。すでに持ち帰り主体の空揚げ店「から揚げの天才」や低価格居酒屋「しろくまストア」などをフランチャイズで出店し始めている。

フランチャイズ方式だと、出店ペースが加速し、本部収益も安定化するメリットがあるが、個々の加盟店に指導が十分に行き届かなくなるリスクもある。

さらに、海外での外食事業も大きく伸ばす。現在ワタミは7カ国・地域で54店舗を展開し、売上高は68億円をあげている。今後は、アメリカと中国でそれぞれ1000億円ずつの売上高を目指す。渡邉氏は「日本は少子高齢化にも手が打たれておらず、将来性を悲観している」と、海外に注力する理由を話した。

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