渡邉美樹議員「ワタミには1000%戻らない」 赤字転落した古巣を想う創業者の胸中
――祖業の居酒屋が足を引っ張っており、苦しい状況が続いているが。
2011年に東京都知事選に出馬したときから約4年間。ワタミ(の経営)を離れ、業績が悪化したのは、100%、創業者としての僕の責任だ。
(ワタミの経営陣から)ときどき報告を受けたり、相談だけでは分からないことがたくさんあった。ラグビーにたとえたら、パスを出したのは僕。それを経営陣が受け取りそこなった。となると、パスを出したやつが悪いわけであって、取れるようなボールを投げなくてはならなかった。そのことにおいては、100%創業者としての問題であり、事業承継の難しさを感じている。
居酒屋「和民」という業態は2006年ごろから、前年の売り上げをクリアできない状況が続いていた。最初から全店が利益率20%以上なので、少々売り上げが落ちても利益が出る。「まだ大丈夫、まだ大丈夫」と思ってきた。新業態がうまくいっても、ワタミの方が利益率も利益額も高い。そうなると、やっぱり「和民がいい」となって、新業態に全力を注ぎ切れなかったことが経営側にある。
ワクワク感やドキドキ感が薄れた
――「和民」というブランド価値はもう下がったのか。
通常なら居酒屋の寿命は、1ブランドで5年間程度だが、和民は15年間も続いた。和民の商品力は高いと思う。ただ、かつては和民だから”2割増し”で見てくれていたのが、今は和民ということで”8掛け”に見られてしまう。
外食、特に居酒屋においては、お客様にとって、ワクワク感とかドキドキ感が求められる。15年間、和民が業界を引っ張ってきた中で、和民に対するワクワク感が薄れてきた。和民の持っている商品力が正しく評価されなくなった。
――和民をはじめ、”デフレの勝ち組”と言われた外食チェーンが軒並み、苦しんでいる。
和民という業態を、何とかしないといけないという思いで、試行錯誤を繰り返してきた。たとえば、値段を下げたり上げたりする。リブランディングもする。高付加価値品を投入する。だが、結局、そういうことじゃなかった。マーケットは和民じゃないものを求めている。
誤解してはいけないが、先日、地方に行ったところ、現地の和民はにぎわっていた。まだまだ、和民が求められている地域もあるし、立地もあるし、競争状態もある。でも、東京や大阪の真ん中では、和民そのものは求められていない。だから、いろんなことをやったのだけど、かえって傷が大きくなってしまった。