「入社1年目から急成長」する新人の3つの習慣 わざと「抜け漏れ」がある状態で伝えてみる

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トラブルや悩みが生じると、新人は「恥ずかしい」とか「自分の評価を下げる」とか、自分事としてそれらを抱え込みがちです。しかし指導者としては、「時間を無駄にするな、チームのために報告せよ」と、つねにチームを意識させることを徹底させることが大切です。

そうすることで、チームで早期に解決に向けて動き出すことができ、組織として時間のロスと成果のロスを最小限に食い止めることができるのです。

そして当の新人もチームに悩みを受け止めてもらえることで、短時間で前向きに行動し始めることができ、急成長していくことができるのです。

3つの習慣があれば多くの人に助けてもらえる

以上、3つの習慣として入社1年目の新人が急成長する共通点をお伝えしました。いずれも、ビジネスパーソンとしての「基本中の基本」と言えるものですが、意外と身に付いていない新人も少なくありません。そしてこの3つがおろそかなままだと、どんなに時間をかけて丁寧に指導しても、新人の成長速度は思ったように上がらないことでしょう。

なお、新人がこれら3つの習慣を実行できるようになると、もう1つ副次的なメリットが生まれます。それは、より多くの人に関わってもらえるようになることです。教えたことをきちんとメモしてくれて、お礼を言ってくれて、トラブルが発生したら適宜報告してくれる新人だったら、直接の指導者でなくても、周囲のみんなが「面倒を見てあげよう」と思うものです。

そうすると、さらに好循環が生まれます。あなたが忙しくなり新人の面倒見が悪くならざるをえないときでも、ほかの多くの人が少しずつ関わってくれれば、新人にとってはそのことが心の大きな支えとなります。また、新人の変化を指導者1人ではなく大人数で見守ることができれば、育成上とても有効に働くはずです。

指導者の方々は、今後新人教育において、本稿で紹介した3つの共通点をぜひ意識してみてください。そして、あなた1人の存在で新人の育成をすべて背負うのではなく、職場にいるより多くの人を巻き込みながら職場全体で新人の育成に対応していくことも意識してください。きっと新人は入社1年目から急成長する存在になることでしょう。

島村 公俊 講師ビジョン代表取締役

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しまむら きみとし / Kimitoshi Shimamura

人事コンサルティング会社等を経て、2006年ソフトバンク株式会社(旧ボーダフォン)入社。ソフトバンクユニバーシティの立ち上げに参画。1000人規模の新人研修、累計500人を超える新人指導者のエルダー研修、100人を超える社内講師の育成等に従事。最高の講師の称号「匠」を獲得する。研修の内製化の取り組みでは、ソフトバンクアワードや日本HRチャレンジ大賞優秀賞など国内外で受賞多数。2016年より講師ビジョン株式会社代表取締役として、「人を育て、人を活かす」ことを目的に、OJTトレーナー研修、新人研修、社内講師育成を軸にビジネスを展開している。

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