絶好調スバルの泣き所、供給不足が深刻に 2013年4~12月期は最高益

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群馬製作所は今もフル生産が続く

富士重工業(車名ブランド「スバル」)は2月4日、2013年4~12月期の業績を発表した。売上高は前期比24.6%増の1兆7085億円、営業利益は同3.2倍増の2333億円と急拡大。これを受けて、通期計画を売上高2兆3800億円(前期比24.4%増)、営業利益3100億円(前期比約2.5倍)に上方修正した。

牽引するのは米国と日本だ。今期の販売計画は米国が前期比22.9%増の約44万台で、日本が同15.7%増の約18万9000台。従来の計画から米国は5000台、日本は1万9000台積み増した。

ここで、一つ疑問が浮かぶ。なぜ米国より日本の販売計画を大きく増やしたのか。米国は富士重の"ドル箱"で、あまりの人気に生産が追いつかないほど(関連記事”売れすぎ”が問題に、スバルのぜいたくな悩み)。しかも、直近の日本の販売状況を見ると、11月が前年同月比21.9%減の9287台、12月が同24.2%減の8561台と2カ月連続で大幅なマイナスだ。

増税の駆け込み需要に対応

富士重の高橋充・専務執行役員CFOは「(現状の為替水準でも)海外より収益性が高い国内に優先的に配車する。実際の受注もどんどん入ってきている。お客様への納車がこれ以上後ろにずれるのは良くない」と、その理由について説明する。

実は、日本の販売が2カ月連続でマイナスになったのは、主力車種の一つである「インプレッサ」シリーズの供給不足によるものだ。インプレッサを生産する群馬製作所はフル稼働しているが、富士重の予想を上回る販売の増加に対応し切れていない。

日本を優先するのは、消費増税前の駆け込み需要への対応もあるだろう。現行の消費税5%が適用されるのは、3月に納車されるものまで。4月以降の納車になると8%に上がる。

生産が追いつかない中で、富士重は苦渋の決断をした。国内で生産し、米国以外の国に輸出する予定だった車を日本に振り向ける。「世界中のお客様にお待ちいただくご迷惑をかけることは、経営陣一同よく認識している」(高橋CFO)。輸出用の車を日本にまわすことで、もともと納車が4月以降になっている「XVハイブリッド」を除き、これまでに注文した顧客には3月中の引渡しが可能になるという。

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