ドコモ社長「iPhone効果出したかった」 4~12月期決算は若干の営業減益に
NTTドコモは1月30日、2014年3月期第3四半期(13年4~12月)の決算を発表した。営業収益は前年同期比0.2%減の3兆3635億円。営業利益は同1.9%減の6886億円となった。iPhoneを導入したことで、12月には2年ぶりに契約純増数トップを奪取するなど、販売面では回復の兆しが見られているが、十分な効果が現れたとは言い難い決算だった。加藤薫社長も「もっと早く効果を出したかったというのが本当のところだが、販売当初は在庫がなく、ドコモショップ全店で販売できなかった。サービスのiPhone対応も遅かった」と認めた。
スマートフォンの拡販によって、パケット収入や端末の販売収入が増加した一方、「月々サポート」(端末の購入代金を2年間かけて割引するサービス)のによる負担額が前期より1962億円拡大し、営業収益は横ばいとなった。利益面では、販売台数が減少したこともあり、代理店手数料などの経費は減少したものの、高速通信のLTEサービスの基地局の償却費増加もあり、全体の営業費用はやや増加する形となった。
KDDIのキャッシュバックにどう対抗するのか
通期の計画達成に向けて、「ほぼ順調な進捗」と説明した加藤社長だが、懸念される要素もある。契約純増数の通期計画は185万件だが、12月までの実績は64万件あまり。この計画の達成はほぼ不可能。利益計画は、コスト削減などでどれだけカバーできるかがポイントになる。また、着実に利益を生み出すために、月々サポートのマイナス影響額を抑えつつ、ユーザーを獲得することも求められそうだ。
業界最大の書き入れ時である3月商戦は、学生とその家族に向けた施策で戦う考えだ。学生には端末料金を値引きし、通信可能なデータ量を上乗せする。学割を利用する学生の家族なら、機種変更でも基本使用料を1年間ゼロ円で使えるようにする。「長期で使うお客様にも還元していきたい」(加藤社長)。ただ、1月の販売実績は、KDDIのキャシュバックにかなり影響を受けたという。「(高額なキャシュバックは)本来あるべき競争の姿ではない」と話した加藤社長だが、3月商戦においても、KDDIのキャッシュバックにどう対抗していくか、という点が課題となるだろう。
また、サムスン電子やインテルなどと開発中の新OS(基本ソフト)「タイゼン」の搭載端末を無期限延期したことについて、「全体のマーケットが少し鈍化しつつあることも考えて見送った。われわれにとっては重要なOSなので、世界の動向を見ながら検討していきたい。完全中止ではない」などと話したが、今後の計画については「マイルストーンとして決まったものがあるというと、なかなか…」と、やや歯切れの悪い答えだった。
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