日本とフランス「稼ぐ女性の服装」はかなり違う 10着のワードローブでやりくりはありえない

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エマニュエル:日本でその傾向がそれほど見られないのは、まずそもそも高いポストに就いている女性の割合がフランスより低いこともあるし、職場での服装についてはそれほど自由がなく、どちらかというと華美じゃないほうが好まれたり、職場全体の統一感を重視しているためじゃないかな。

あと、フランス女性が職場で洗練された服を着る理由として、一般職員には買えないような高級な洋服やカバンや靴を身に着けることで、それだけ上のポストは給料が高いことを示して、職場での上下関係を強調する目的もあるだろう。

メイクにはそこまで関心がない?

くみ:そうね、1950~1960年代生まれで、組織で幹部レベル以上まで昇進して活躍している女性は日本では相当少ないはず。それに、それぞれが一匹狼というか、職種から活躍の経緯から意識まで異なる部分が多かったと思うので、活躍していた女性たち全員が自分で買えるだけの高級ブランドに身を固めて仕事に行っていたと想像するのは難しいね。

一方、今は職種にもよるけど例えばモード業界やラグジュアリー関係、あと女性起業家やアーティストなど個人で活動している女性は、多少奇抜、派手であっても自分の好きなスタイルを追求している人は多いかも。でもそれ以外のいわゆる一般的な働く女性の格好は、男性よりは自由とはいえ、無難なスタイルであることが一番大切で、さりげないおしゃれや個人差は認められても、あまり目立ちすぎないように心がけている気がする。

エマニュエル:でもこうやって30代から60代の大企業の管理職といった経済力の高い女性たちがそろって職場のために洗練された服装を買い求めることで、フランス国内に大きな経済市場が生まれて、洋服やカバン、靴などのファッションを扱う高級ブランドが拡大されるようになり、それが世界中へと輸出されることになる。マクロ経済的には大きな結果をもたらしたといえるだろうね。

一方、職場でのメイクに関してはフランスよりも日本のほうが強調されているよね。だからフランスでの洋服と同じように、化粧品の日本企業が多く形成され、その技術が海外にわたり日本の化粧品が世界各国に輸出され広まる。僕の母親がいつも使っていた化粧品はシュウウエムラだったしね。

くみ:なるほど! サン・ジェルマン大通り沿いにも路面店があるよね。日本だと、靴のことが今話題にもなってるけれど、オフィスワークなら基本的なメイクはしたほうがいい、などと会社側が言うところもあるって聞くわ。フランスでは野暮ったく見られることもある、肌色のストッキングも日本では必需品だったりね!

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