市況悪化はまだ2回表、回復に4、5年かかる--宮原耕治・日本郵船社長

市況悪化はまだ2回表、回復に4、5年かかる--宮原耕治・日本郵船社長

 海運のスポット運賃総合指数、バルチック海運指数(BDI)は2008年5月下旬に史上最高値の1万1793をつけた後、わずか半年後の12月上旬には史上最低水準の663まで95%下落した。宮原耕治社長は5月の最高値も足元の水準も「異常」と切って捨てる。

-- BDIは未曾有の暴騰の後に真っ逆さまに下落しました。

この4、5年が異常でした。世界同時好況で、国際物流、とりわけ資源輸送が増えていきました。それでケープサイズ(大型バラ積み船)のスポット運賃が高騰しました。

その後に直角に近い角度で市況が急降下した理由は、直接的には中国ですが、主因は欧米ですよ。サブプライムローン・バブルがはじけて、中国から欧米への輸出が大減速を始めました。

それまでは、中国の旺盛な鉄鉱石や石炭の買い付けに対して、船の供給制約がありました。中国の鉄鉱石輸入は毎年7000万トンずつ増え続けました。20万トン級のケープサイズが年5回航海して年間100万トンですから、70隻の新造船が必要でした。ところが世界全体の造船能力では年50~60隻しか造れません。それで毎年10~20隻の需給ギャップが生じ、それが積み重なって100隻くらい足らなくなりました。「スポット運賃が少しでも安いうちに押さえておかないと」という飢餓感から、4、5年前からズーッとスポット運賃が上がってきたわけです。

そこで韓国が2年前に造船所の拡大に走りました。「国輸国造」(中国が使う船は中国で造る)を合言葉に、中国もどんどん造り出し、中韓の大増産で、10年には世界全体の供給能力は今の3~4倍になろうとしていました。いわば新造船の大洪水です。

-- 世界同時不況で幻に終わりつつある「船舶の10年問題」ですね。

それまでの1、2年はなんとかなるだろうと、大洪水の10年に焦点を当てた経営をしてきました。スポット契約なら何倍も儲かるのだけれど、私は、今が異常なんだよ、と社内で言い続け、長期契約化を進めてきました。安定的な収益源を確保するためです。現場から「大儲けできるのに、なんで?」と言われましたが、「とにかく(長期契約を)やるんだ」と言い続けました。

そこに前倒しで、米国を主因とした世界同時不況が訪れたのです。半年前の史上最高値も異常でしたが、今のスポット運賃の水準も異常な低さです。通常ならどこかの時点で巡航速度に戻るのですが、いつ戻るのか、どのへんのレベルに落ち着くのか、というのが見えてきません。

-- 米国経済がピックアップしてこないとどうしようもない。

日本郵船ではバラ積み船が4割を占めますが、コンテナ船も2割5分あります。家電や自動車部品、衣類、長靴など、中国から北米にコンテナ船で運ぶ雑貨はありとあらゆるものですが、北米向けのコンテナ船は08年に1割減りました。09年はもう1割落ちるかもしれない。欧州は毎年2割くらい増えてきましたが、08年は成長ゼロ。09年はマイナスに転じるだろうと見ています。

もう一つは完成車輸出です。国内から海外への自動車輸出はこのところずっと増えてきていて、07年は654万台でした。これは1985年の過去最高記録、673万台に並ぶ水準です。

しかし09年は欧米向けが大きく落ち込み、500万台を切るのではないか。日本国内から海外への自動車の海上輸送は、40~45%が日本郵船です。120隻の自動車専用船を保有していますが、需要の落ち込みを受けて、10隻のスクラップを決めました。老朽化した不経済船をこの機会に廃船しようということですが、これではまだ足りないのでもう10隻の廃船を第2弾でやるつもりです。それでも足らなければまた別の手を考えます。

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