JR東海とJR北海道を分析する 鉄道会社のトラブルは、厳しい経営環境が原因?

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 JR北海道は今年、度重なる出火・発煙事故や貨物列車脱線事故、レール幅の異常の放置など、多くの問題が明るみに出ました。ただ、財務内容を見るかぎり、確かに収益力は高くありませんが、安全管理に経費を割けないほど、業績が悪化しているとは思えません。
 そもそも、「JR三島会社」と称されるJR北海道、四国、九州に関しては、ある独特な仕組みによって経営が成り立つようにできているのです。そういう点では、同社の数々のトラブルは、ひとえに経営の問題だと言えるでしょう。
 一方、鉄道会社の中でも突出して高収益なのがJR東海です。ただ、JR東海は来年度からリニアの着工が予定されていますので、今まで以上に収益力が問われることになるでしょう。今回は、いろいろな意味で注目を集めているJR北海道と、JR東海の財務内容を分析していきます。
超電動リニア車両。収益の点でも、JR東海は超のつく優良会社(山梨のリニア実験線で、撮影:尾形 文繁)

JR東海は超高収益企業

はじめに、JR東海の平成25(2013)年3月期の決算内容を分析します。収益性を調べるために、損益計算書(短信の9ページ)に注目してください。

企業の売上高にあたる「営業収益」を見ますと、前年度の1兆5083億円から1兆5853億円まで伸びています。「営業利益」も3725億円から4261億円まで順調に伸びていて、最終的な「当期純利益」も、1327億円から1999億円まで増加しています。

ここで注目していただきたいのが、「売上高営業利益率」です。これが高いほど効率的に収益を上げていると言えますが、JR東海の売上高営業利益率は、26.9%もあります。

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