新幹線をめぐる全国バトル! 続々開業、勝者は誰だ《鉄道進化論》

今後、次々に開業する整備新幹線に地元は何を期待するか。北海道から鹿児島まで全国ルポ。

新幹線をめぐる全国バトル! 続々開業、勝者は誰だ《鉄道進化論》

【青森】「九州より早い開業」が新型E5系よりも重要

東北新幹線八戸-新青森間の開業は青森県の悲願。その区間を走る新幹線の新型車両「E5系」が6月17日、ついに姿を現した(見出し横写真)。国内最高となる時速320キロでの営業運転性能を持つE5系は、東京-新青森間を最速で現行より1時間以上早い3時間5分で走り抜ける。

同区間の開業と同時にE5系が新青森駅ホームに入線すれば、新時代幕開けの格好のアピールとなる。実際、当初計画はそのはずだった。だが最終的なスケジュールを見ると、E5系が八戸-新青森間を走るのは開業から3カ月も後の話だ。

 その答えは、昨年11月の「東北新幹線八戸~新青森間の開業時期について」というJR東日本の発表文にある。そこに書かれた開業時期は2010年12月。当初計画よりも3カ月の前倒し。E5系よりも青森県が待ち望んでいたのはこれだった。

なにしろ当初計画の11年3月は、九州新幹線の全線開業と重なる。青森1県と九州全域では観光競争力で大きな隔たりがある。同時開業では観光客の目が九州に向くのは必至。それだけに「九州より1日でも早く開業してほしい」(県企画政策部・新幹線開業調整監の石崎聖一氏)というのが、県側の切実な願いだった。そのために「用地買収でも県を挙げて全面的に協力した」(石崎氏)。

東北新幹線八戸駅開業後、盛岡-八戸間の利用客は開業前の1・6倍に増えたという。「八戸-新青森開業後も同じペースで増えてほしい」(同)と期待を寄せる。県の期待は、飛行機とのビジネス客の奪い合いではなく、観光需要の掘り起こし。ただ、ねぶた祭りが有名な夏季と異なり、冬季に観光の目玉はない。12月の開業時にどうやって観光客を集めるか。これが頭の絞りどころだ。


■工事が進む新青森駅

もう一つ課題がある。新青森駅は市の中心にある青森駅から4キロメートル離れた場所にあり、周囲には何もない。だが、「新青森駅周辺に大型商業施設を誘致する計画はない」(青森商工会議所の高谷暢統括参事)。市内観光の拠点はあくまで在来線青森駅という位置づけ。観光客に市街地に足を運んでもらうためだ。だが、そのための交通アクセスは未整備の状態。さらに新幹線開業後に八戸-青森間は第三セクターとして経営分離されるが、地域住民の生活の足がどこまで維持できるかも課題だ。

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