映画『ゼロ・グラビティ』がすごい理由 プロデューサーのデヴィッド・ヘイマンに聞く

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 全世界46カ国でナンバーワンを記録し、世界興収600億円を突破した体感型エンターテインメント大作『ゼロ・グラビティ』が12月13日に全国公開された。舞台は地表から600キロメートル上空の宇宙だ。スペースシャトル船外でミッションを遂行中だったメディカル・エンジニアのストーン博士(サンドラ・ブロック)と、ベテラン宇宙飛行士のマット(ジョージ・クルーニー)の2人は、誰もが予測しなかった突発的な事故により、無重力空間(ゼロ・グラビティ)に放り出されてしまう。彼らに残された酸素はわずか2時間。地球との交信手段も断たれてしまった絶望的な状況の中で、2人は地球に生還することができるのか――。
 ほぼ全編が無重力状態の中で展開されることから、実写とCGIとコンピュータアニメーションを融合。セット、背景、衣装に至るまで、すべてがコンピュータで作りだされた。さらに登場人物たちが浮遊している姿を表現するために、カメラアングルや照明の具合をコンピュータで制御する「ライトボックス」システムや、遠隔操作が可能な12本のハイテクワイヤシステム、そして金属製の円錐に似た部分で人間の下半身を固定させ、さまざまな速度・角度で人間の体を回したり傾けたりすることを可能にした「ティルト・プラス装置」といった革新的なシステムもこの映画のために導入された。
 そんなチャレンジングな作品をプロデューサーとして実現させたのが、世界的大ヒットを記録した『ハリー・ポッター』シリーズ全8作をプロデュースしたデヴィッド・ヘイマンだ。ハリウッドでも屈指のヒットメーカーである彼に、ヒットする企画を見出す秘訣、そして本作がテーマとする「逆境」について聞いた。

プロデューサーは『ハリー・ポッター』全シリーズを手掛ける

――リアルな宇宙空間の映像に衝撃を受けました。本当はこの映画は宇宙で撮影されたんじゃないかと思わせるくらいでした。

いや、残念ながら宇宙では撮影していないんだ(笑)。でも、ただひとつだけ、これは監督のアルフォンソがやる典型的な手法だけど、カメラの前をジョージが通り過ぎたときに、一瞬だけクルーの映像が反射して映りこんでしまうシーンがある。これは実際に撮影クルーが宇宙空間まで行って、現場の出来事を撮影したんだよということを表現したかった。アルフォンソはそういった「意図的な間違い」を演出するのが好きなんだ。

たとえば彼と組んだ『ハリー・ポッター』の3番目の映画(『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』)には、城の上にいるとある生き物を映し出すシーンがあったんだけど、そこで彼はヘリコプターの影をつけようとしていたんだ。だって、どうやって城の上を撮影したの?という話だからね。まあ、結局、それはやらなかったんだがね。

(c)2013 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.
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