"非モテ"雑誌『リンネル』がバカ売れの理由 ナチュラル系という、巨大勢力

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そういうものを今の雑誌でも表現したいという気持ちがあります。それに、ニッチで良質なものを求める『リンネル』の読者に、こういった知的な刺激になるようなページは、とても反響がありますね。

「上の世代」「男性向け」にまだ伸びる

――来年には、派生した媒体も出るのですね。『大人のおしゃれ手帖』。

そうです、これまでもムックで何本かやっていて、今度、月刊化します。『リンネル』を作っている中で、もう少し大人世代に絞った雑誌が欲しいという声が、けっこうありまして。ですから、しっかり、40代、50代、60代の方へ向けたものを作ろうと思っています。

確かに『リンネル』は幅広い年齢の方に見ていただけるファッション誌ですが、年齢が上の方のほうが、実はより自由で、個性的なのです。若い人より、他人からどう見られるかという気持ちから解放されていて、踏ん切りがついているという感じでしょうか。なので今度の雑誌では、『リンネル』よりさらに個性的なことをやっていきたいと考えています。

50、60代の『リンネル』読者には、本当におしゃれな方が多いですよ。景気のいい時代もたくさん楽しまれて、上質なもの、いいものをよく知っていらっしゃる世代の方ですよね。過去、さまざまなアイテムやスタイルを通過してきて、それで、自分が本当にどういうふうにしたいかが、見えていらっしゃるのだと思います。取材している私たちも、すごく勉強になります。

――なるほど、『リンネル』をもっとディープにした雑誌になりそうですね。

『リンネル』本誌の方も『大人のおしゃれ手帖』も、部数は大きくても、今の“知る人ぞ知る”みたいな雰囲気はずっと大事にしたいですね。自分だけの“隠れ家雑誌”といった感じ。その感じは変えずに大切にしていこうと思っています。

――今後、こういうこともやってみたいという、野望みたいなものはありますか?

まずは、これから月刊化する『大人のおしゃれ手帖』を成功させたいです。それがかなったら、メンズのライフスタイル誌的なものも考えてみたいかな。男性だっていろいろ好みが分かれていますよね。まだ、ナチュラル系の男性ファッション誌もありませんし、どの雑誌にもしっくり来ないという人たちが、意外にたくさんいるのではないでしょうか。

――確かに最近では草食男子を超越した、仙人男子なるものがはやっているようですね(笑)。

男性にもだんだん自分の趣味とか、家の中のこととかを大事にしていきたいという風潮が出ていると思うんですね。そういう層にうまくアプローチできればと思っています。

(撮影:谷川真紀子)

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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