――西山さんはもともと書籍の編集者で、雑誌のご経験はない中から『リンネル』を創刊編集長として立ち上げられています。けっこう馬力のいる仕事だったかと思いますが、『リンネル』を作りたいと思われたきっかけは何だったのでしょうか。
ひとつのきっかけは、自分自身が30歳を過ぎた頃、「そういえばあまりファション誌を読まなくなったな」と、気がついたことだったかもしれません。
以前は雑誌が大好きで、『Olive』『an・an』『non-no』とか、いろいろな雑誌を読んでいました。ところが30代になると、仕事なり、暮らしなり、なんとなく自分のスタイルが見えてきて、必要だと思う情報が絞られてきたのです。
ところが、多くの雑誌は情報量が膨大すぎて、「消化しきれないし、もういいや」という気分になったわけです。周囲の同世代の友人に聞いてみたら、同じように考える人がたくさんいました。
30代になって、ファッションが嫌いになったわけじゃないし、情報が欲しくないわけでもない。ただ、自分にとって必要なものだけが欲しい。そんな自分たちの今の雰囲気に合う雑誌があればと思い、『リンネル』の立ち上げに至りました。
なぜ「ナチュラル系」がウケるのか
――2008年、季刊のムック本からのスタートで、今では毎月30万部を売り上げる、業界でも有数の雑誌になりました。
ムックの時代からとても反響があって、正直、自分でも「こういうテイストを好まれる人がこんなにたくさんいたんだ!」という気分でした。
――では、初めはここまで大きな雑誌になることを想定されていなかったと。
全然、まったく、想定していませんでした(笑)。
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