ヤフーと楽天、ライバル2社を分析する ヤフーがECモール出店無料化、楽天は大丈夫?

✎ 1〜 ✎ 25 ✎ 26 ✎ 27 ✎ 最新
拡大
縮小

次に、ヤフーの財務内容を分析してみましょう。実は、ヤフーは楽天とはまったく異なる収益構造をしているのです。

まずは損益計算書(2012年度通期決算の8ページ)から見ていきます。「売上高」は3020億円から3429億円まで、13.5%増。「売上原価」は、280億円から363億円まで増えていますが、売上高と比較しますと、非常に小さい額であることがわかります。そして「営業利益」は、1650億円から1863億円まで伸びています。

ポータル国内最大、抜群の収益力を持つヤフー

つまり、「売上高営業利益率」が54.3%もあるのです。売上高の半分以上が営業利益になるわけですから、かなりの収益力があるわけです。

この理由は、IT業界独特の収益構造にあります。IT業界というのは、固定費も変動費もそれほど多くかかりませんから、損益分岐点が低いうえ、それを超えると莫大な利益を得られるのです。ですから、競争は激しいのですが、当たればかなり儲かります。多くの人がIT業界に参入したがる理由は、ここにあります。Facebookが急成長したのも、このような収益構造があったからなのです。

さらにヤフーが強いのは、国内最大のポータル(玄関)サイト「Yahoo!JAPAN」を持っているということです。皆さんもご存じのとおり、同サイトは抜群の集客力がありますから、広告宣伝費が必要ありません。逆に、膨大なアクセス数を武器に広告収入を得ているビジネスモデルですから、IT業界の中でも圧倒的な強みがあるのです。

セグメント情報(同2ページ)を見てみましょう。ポータルサイトの広告収入などが含まれる「マーケティングソリューション事業」のセグメント利益は1261億円。eコマース関連の収入である「コンシューマ事業」は782億円です。

次ページヤフーが楽天に「挑戦状」を突きつけたワケがわかる
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT