海陽学園、「日本一学費が高い」説は本当か? 中島尚正校長に「全寮制」の狙いを聞く

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日本の私立中高一貫校の中ではまれな、全寮制の学校が愛知県にある。海陽学園だ。愛知県蒲郡市の三河大塚駅から歩くこと15分。名前のとおり海に隣接した風光明媚な広大な敷地に、“日本のイートン校”と呼ばれる学校が姿を見せた。
海陽学園の設立は2006年、ほかの私学に比べると歴史は浅い。だが、第1期生の東大合格者は13人(1期の卒業生は101人)をたたき出し、私立が弱いとされていた「公立王国・愛知」でトップ校の仲間入りを果たし、業界関係者を驚かせた。
では、なぜ今では廃れてしまった全寮制を採用しているのか。そもそも、今、学校を作る意味とは。かつて東京大学工学部長を勤めた中島尚正校長に話を聞いた。

 

――まず海陽学園という学校の成り立ちからして独特ですね。

ええ。海陽学園を作ったのは、教育界の関係者ではありません。産業界のリーダーたちです。トヨタ自動車とJR東海、中部電力の3社が中核となって、次世代のリーダーを担うような学校を作ろうというのがきっかけでした。もちろん、3社だけでは難しいですから、東海圏を中心に約80社に寄付を募って設立されました。なので企業との関連は密接ですね。

――全寮制というスタイルも話題です。なぜ全寮制にしたのですか?

しばしば考えているのですが、今の若者は「何か」が足りない。その「何か」を考え詰めたときに、「人間力」だと思いました。漠然とした表現ですが、要するに「他者と上手に折り合いがつけられない」ということです。核家族化が進んで、少子化も進んでいます。そうすると家庭内では親に囲まれて蝶よ花よと育てられます。そうすると子供たち同士で相手のことを思慮しながら、物事を進めることができなくなります。

過去を懐かしむわけではないですが、昔のコミュニティでは年長者と年少者の区別なく遊んでいて、そこにルールが生まれ、他者と折り合いをつけることを肌で学びました。海陽学園では、そうしたコミュニティを再現してみようという試みをしています。

学内の食堂で、毎朝、毎晩生徒達は一斉に食事をする
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