「立教大野球部」は勝つ組織にどう変わるのか 就任5年目の溝口監督が描く「常勝チーム」

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優勝から遠ざかっていた時期には東大に苦杯をなめることも多く、長く5位が定位置で、最下位に沈むことも珍しくなかった。

2008年から「アスリート選抜入試」が導入されたこともあって、大阪桐蔭、浦和学院、仙台育英などから甲子園で活躍した選手が入部してきた。近年は、優勝争いに加わるものの、「あと1勝」で優勝に手が届かないシーズンが続いた。

現役時代(1990年秋)に、キャプテンとして他大学よりも劣る戦力を率いてリーグ優勝をつかんだ経験を持つ溝口監督は言う。

良い意味でも悪い意味でも「立教らしさ」がこれまではあった(撮影:風間仁一郎)

「優勝できるかどうかは、戦力の問題だけではないと思っています。

これまでの立教は、優勝することがまれなチームだったので、『ぬるさ』からなかなか抜け出せず、同じような失敗を繰り返すことが多く、必死になって何かをやろうとなりにくかった。

優勝を義務づけられてきた早稲田、慶應、明治、法政と違うところです」

しかし、勝ち点を取ること、優勝争いに加わること、優勝すること。ステップを踏んで強くなってきた。

「ここ数年は『あと1勝で優勝できる』というところまで来ています。もう優勝争いをすることで満足する部員はいません。もう一段上のチームになるためには、短期間に優勝という実績を積みたい。少なくとも、2年に1回は優勝できる組織にならないと。

そうすれば、『また勝てた。次も!』となっていくはずです。いまも、優勝できなかったことを悔しがっています。ですが、意識が変わっていなかったり、意識を変えようとしていても行動が伴っていなかったりする。そこが甘い。行動が変わらなければ、意識していないのと一緒ですから」

勝つ文化のないチームに勝つ意識を根付かせる

溝口監督が学生だった30年前、部員数は80人から100人程度、1学年は20~25人だった。しかし現在は、180人の大所帯になっている。選手の気質の変化もあり、チームマネジメントは容易ではない。

「監督着任以来、『優勝するためには何が必要か』とずっと考えてきました。それは、チーム全体がひとつの方向を向くということ。部員はいま180人います(最高時は204人)。

ベンチ入りできるのは25人なんですが、180人全員で立教大学野球部です。ベンチ入りできないメンバーも神宮球場のスタンドで本気で喜んだり、悔しがったり、泣いたりする組織にしなくちゃいけない」

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