「野球離れ」でも高まる少年硬式野球への期待 ボーイズリーグとリトルシニアの動向・前編

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ボーイズ、リトルシニア、ヤング、ポニーなど主要な少年硬式野球団体で構成する日本中学硬式野球協議会は、2015年「中学生投手の投球制限に関する統一ガイドライン」を設け、試合での登板は1日7イニング以内、連続する2日間で10イニング以内と定めている。ボーイズリーグもこれを遵守している。

「うちの大会はトーナメント形式が中心ですが、昔ならエースが一人いたら結構強いチームになったのが、今は3、4人それなりのレベルの投手がいないと勝ち進んでいけなくなっています。子どもの負担を考えると、これも仕方がないことです。

連盟には専属ドクターはいませんが、チームで契約しているところはあります。連盟としても健康管理に取り掛かろうとしています。

最近、連名で口を酸っぱくして言っているのが、暴力、パワハラの根絶です。昔なら、エラーをした子どもを監督がこつんとやるようなことは、日常の風景でしたが、今は許されません。月1回の会報誌でもつねに大きく掲示していますし、藤田英輝会長なども会合のたびに訴えています。最近は、指導者の喫煙も、見物人から連盟に通報が入るなど、厳しくなっています。こういう部分の意識改革も重要ですね」

当コラム(「DeNA筒香「球界の変わらない体質」にモノ申す」(2018年1月16日配信))でメッセージを紹介して反響を呼んだ横浜DeNAベイスターズの筒香嘉智もボーイズリーグのOBだ。

大きな団体だけに、先進的な考えのチームも、昔ながらの日本野球のスタイルを踏襲するチームもある。ただ、全体としてはボーイズも「野球離れ」の現実の前に、少しずつ変化しつつあると言えよう。

ボーイズと双璧の「東のリトルシニア」

【リトルシニア(日本リトルシニア中学硬式野球協会 本部:東京都)】
・創設:1972年
・チーム数:555、部員数:20072人
・主なプロ野球選手:阿部慎之助(巨人)、坂本勇人(巨人)、鳥谷敬(阪神)、中田翔(日本ハム)、岩隈久志(近鉄、楽天、MLB)、涌井秀章(西武、ロッテ)、角中勝也(ロッテ)、松坂大輔(西武、MLB、中日)、菊池涼介(広島)、大谷翔平(元日本ハム、エンゼルス)

”西の雄”ボーイズに対し、リトルシニアは”東の雄”。チーム数、選手数、そしてジャイアンツカップでの優勝回数(24回中12回)でも拮抗している。

JA共済杯 第24回日本リトルシニア全国選抜野球大会で優勝した世田谷西リトルシニア(写真:(株)フォトグラフィーアーラ)

「もとは、小学生の硬式野球団体であるリトルリーグと同一の団体でした。でも中学から硬式野球をやる選手が爆発的に増えて、一緒に運営するのが難しくなったので、独立したんです。

今、全国に7つの連盟があります。私どもは独立した当時の1.7万人から2.2万人まで増え、今は2万人ぎりぎりと言うところです。でも子どもの自然減ほどにも減っていません。

今は、小学生の時に軟式だった子が、中学では硬式をやりたいという希望が多いようです。中学校の軟式野球部は、指導者が不足していると聞いています。それもあって野球をしたい子がリトルシニアに入ってきます」

山下二郎事務局長は語る。

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