元日本代表・廣瀬が語る「ラグビーW杯」の期待 アジア初の開催国となった日本、成功の鍵は?

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アジアで初めて2019年のラグビーワールドカップ開催国となった日本で、大会の成功に向け奮闘する元日本代表選手、廣瀬佳司氏(撮影:今井康一)

 2015年9月にラグビーの祖国、イングランドで開催されたラグビーワールドカップ(以下、W杯)。日本代表は世界の強豪国、南アフリカを撃破。

「ジャイアントキリング」と称される歴史的な大金星を挙げ、「ブレイブブロッサムズ(勇敢な桜の戦士)」の存在を世界中に知らしめた。

勇敢を意味する「ブレイブ」と日本代表のジャージーの胸に付けられた桜の花(チェリー・ブロッサム)を組み合わせた「ブレイブブロッサムズ」という愛称が使われたのは、2015年W杯が初めてではなかった。

2003年オーストラリア開催のW杯は、強豪国で構成される「ティア1」に日本代表が限りなく近づいた大会だった。ラグビーには「ティア(tier)」と呼ばれる「階級」が存在し、日本は中堅国「ティア2」のチームだ。

記憶に残る戦いをした選手の1人が廣瀬佳司

スコットランドとの初戦では、後半途中まで僅差のゲームを展開。最後は11対32で破れたが、地元のファンは大健闘を見せた日本代表を「ブレイブブロッサムズ」と称えたのだ。

第2戦もフランス相手に後半途中まで大激闘を繰り広げた(結果は29対51で敗戦)。12番センターの難波英樹のパスをカットインで受け取り、相手のディフェンス網を突破した13番センターのジョージ・コニアのトライは、今でも美しいプレーとしてラグビーファンの間に語り継がれている。

両ゲームに臨んだ日本代表の華麗なパスプレーとともに目立ったのが、足元への低いタックルだった。中でも先発メンバーに名を連ねた小柄な2人のハーフ団(ハーフバックを指す)が巨漢の外国人選手に何度も突き刺さるようなタックルを繰り返す姿は、観客の心を大きく揺さぶった。

9番スクラムハーフの辻高志とハーフ団を組んでいたのが、10番スタンドオフを務めた廣瀬佳司である。

日本代表での現役時代を振り返る廣瀬氏(撮影:今井康一)

「当時はスクラムハーフやスタンドオフを狙っていくような戦術を採るチームが多かったので、タックルに行かざるをえなかった」

スタンドオフは攻撃の要となる「司令塔」のポジション。ところが、廣瀬の左耳はいわゆる「ギョウザ耳」の状態。

内出血のまま血を抜かずに放っておいたため内部で固まり、膨らんだままになっている。フォワードにはタックルだけでなくスクラムで耳をつぶす選手も多いが、「ギョウザ耳」のスタンドオフはあまり見かけたことがない。

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