『遠距離介護』が働き盛りを襲う! 仕事との両立に悩む人が急増

『遠距離介護』が働き盛りを襲う! 仕事との両立に悩む人が急増

「80代の両親は、今は何とか2人で暮らしている。問題はこれから」

東京在住の外村幸一さん(50)は2年前、熊本に住む父親が病気で倒れたことで、離れて暮らす両親の「介護」について真剣に考えるようになった。「近所で暮らす親戚も高齢者ばかり。年に数回帰省して地域の情報を集めようとしたが、どこに行けばいいのかわからず、なかなか情報を手に入れることができなかった」と当時の様子を振り返る。

核家族化、高齢化が加速する現代社会で、遠方に暮らす親の介護に悩む人は多い。かつては兄弟姉妹の人数が多かったため、子どものうちの誰か一人は両親のそばにいることができた。しかも専業主婦が多く、女性が介護の担い手として存在した。だが、少子化、女性の社会進出により、遠く離れて暮らす親や妻の介護に悩む人は確実に増えている。

最近では、フジテレビ『ニュースJAPAN』の松本方哉キャスターが2007年11月から2カ月半、クモ膜下出血を発症した妻の看病のために休業したことが話題になった。松本キャスターは現在も、闘病中の妻の介護のため金曜日は休業している。親だけでなく、妻が病に倒れ介護生活を送る40代、50代男性は、決して少なくない。

確かに、仕事と介護の両立支援を目指す企業も出てきてはいる。たとえば、伊藤忠商事では07年11月に介護支援制度を改定。制度の適用年数を延ばしたほか、提携している福利厚生サービス会社のサービスメニュー利用を前提に、月5万円まで補助する介護支援金制度を新設した。

だが、それでも、日本の介護休業の取得実績はまだまだ少ない。社会全体を見渡しても、介護休業取得率はわずか1・5%(06年労働政策研究・研修機構調べ)というのが実情だ。

総務省の就業構造基本調査を見ると、家族の介護や看護のために離職・転職した人は昨年1年間(06年10月~07年9月)で14万4800人に上った。4年前と比べると5割以上増加、過去10年間で最高だ。離転職者のうち男性が占める割合は増加しており、そのおよそ半数を40~50代が占める。

だが、介護に専念するために転職するにしても、40代、50代で次の職を見つけるのは容易ではない。医療の発展によって高齢化は進み、介護の期間はますます長くなることが予想される。親が90歳を超えれば、介護者となる子も高齢者。新しい職が見つからなければ、自分自身の老後資金に不安を感じることになりかねない。

東京と熊本を行き来する遠距離介護に至った外村さんも、そんな仕事と介護の両立に苦しむ一人だ。

「熊本で就職しておけばよかったと何度も思った。30代であれば会社を辞めて地元に帰っていたかもしれない。両親がそばで暮らしてほしいと思っているのかどうか、若いうちに聞いておけばよかった」と、外村さんは漏らす。

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