米国人が離婚しなくなったのは「愛」が理由か 離婚率が過去40年間で最低水準に

拡大
縮小

マディソン夫婦が結婚生活を続けることを決めた理由も、離婚にかかる費用や2人の共有財産、2人の子どもの存在だったという。10代の頃に出会った2人は、10年の交際を経て結婚。ところが、2年前に離婚危機が訪れた。

「断続的な不幸に私たちは見舞われた」と妻のジェシーさんは振り返る。重い病気の子どもを抱える彼らの両親の1人が亡くなり、もう1人が認知症と診断されたのだ。こうした出来事が起こる前から、夫婦の絆は弱くなっており、度重なる困難を2人で乗り越えるのは難しいように思えた。

夫婦の25%は将来的な離婚を考えている

夫妻は離婚を考え始めたが、その過程で、離婚にかかる費用を見積もった結果、楽観的に離婚できるような額ではなかったという。

離婚後の経済面にも懸念がある。2人の子どもを持つワーキングマザー、シャンテル・スタントンさん(結婚歴15年)は、結婚生活を続ける理由の1つを「離婚して2世帯をやりくりしなければならないのは、高くつくから」と話す。彼女の趣味は旅行だが、離婚した場合、今のように旅行に行くことは難しくなると考えている。

とはいえ、一度は離婚を考えたことがあるという彼女にとって重要なのは、「子どものために安定した家庭を保つこと」だった。驚くことではないが、これはほとんどの人が結婚生活を続ける最大の理由である。

ハフィントン・ポストの調査によると、夫婦4組に1組は子どものために一緒に暮らしているだけで、彼らが成長したら離婚を計画しているといい、子どもを持つ既婚者2000人のうち、18%は婚姻関係を終わらせる具体的な日程があるという。

実際、家族と結婚に関する研究センターの調査によると、結婚20年目の離婚率は、10年目の離婚率より高くなっている。つまり、一部の人はすべての子どもたちが家から巣立つのを待って、不幸な結婚生活に幕を下ろしているのである。

スタントンさんはまた、最近米国で続発している高校などでの銃の乱射事件を挙げ、「犯人たちは皆、父親が子育てにかかわっていなかった」ことを懸念している。「いい父親像」がなかったため、子どもの精神的な安定が保てなかった、と考えているのだ。

次ページ「従来の結婚」とは違う形を模索する人も
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT