「悪の手引書」編み出した男の強烈なとがり方 とにかくたくましく能天気に、したたかに

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「続編が本編より新鮮なわけがないんです。どうしても1冊目が売れますよね。自信のあるネタを惜しみなく出すから。続けるうちに、どうしてもつまらなくなるし、売れなくなるんだけど、水脈が枯れるまで出してしまう。ビジネスとしては絶対ダメだってわかってるんですけどね(笑)」

芸能本でヒット作に恵まれるものの…

その後は芸能系の本を作りはじめた。

吉本興業のオフィシャルで出した『吉本興業商品カタログ』ではダウンタウンが期待のホープとして紹介されていた。

スキャンダルを含んだ内容で、飛ぶように売れた『洋子へ―長門裕之の愛の落書集』(筆者撮影)

そして、長門裕之のインタビューを基に作った『洋子へ―長門裕之の愛の落書集』が発売される。スキャンダルを含んだ内容で、この本が発売されると、全局のワイドショーが2週間連続で取り上げた。

「飛ぶように売れましたね。1カ月で40万部は売れたんじゃないかな。その後は芸能本を片っ端から出して、やっぱり最後は全然売れなくなりました」

そして次に出したのが『悪い医者』に始まる、業界の裏側を暴露するシリーズだった。

医者にインタビューをして、悪い医者の手口や見抜き方を解説した。

このシリーズも、悪い不動産屋、悪い先生、悪い葬儀屋などさまざまな派生の本が作られた。

また『ヤブ医者の見分け方!!』は、若手の医師グループが医者の実際を説明し、テレビでも取り上げられて5万部ほど売れた。

1993年、社長がテレビを見ていると『磯野家の謎―「サザエさん」に隠された69の驚き』(飛鳥新社)が紹介されていた。

これはいい企画だな、と思った社長はその場でライターに電話をした。

「ライターさんには超特急で2週間で書いてもらって、1カ月半で本を出しました」

タイトルはより直接的に『サザエさんの秘密』にした。もくろみどおりよく売れた。

2冊目は『ドラえもんの秘密』を出した。こちらは数を作りすぎたため、半分が返品されてしまった。

「データハウスとしての儲けはゼロでしたね。それでも売れてはいますから、どんどん出していきました」

『ドラゴンボールの秘密』『スラムダンクの秘密』『らんま1/2の秘密』『ゲゲゲの鬼太郎の秘密』『幽遊白書の秘密』などなど気づけば、100冊を超えていた。

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