おカネをガッチリ儲ける「運用計画」の作り方 「投資のプロ」たちも、実はかなり迷っている

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しかし、率直に言って、マクロ経済の見通しを重視して運用計画を作るのは、上手く行きにくいのが現実なのだ。

例えば、近年は市場での存在感が大きい公的年金の運用計画の場合、内閣府が作った経済見通しを前提として、長期運用の観点から運用の基本方針が策定されることになっている。2018年度には、政府の長期経済見通しを前提にした年金財政の検証が発表され、これに対応した運用基本方針が検討されることが予想される。

経済見通しは運用機関のポートフォリオ正当化の方便?

しかし、内閣府が作ろうが、民間のエコノミストが作ろうが、経済見通しというものは資産運用に十分有効であるほどに当たるものではない。

また、仮に(珍しくも!)経済見通しが当たっていたとしても、それに対して資本市場の各種の価格がどう反応するのかは、予想が難しい。思い切って言うなら、政府の経済見通しのようなものは、持ちたいポートフォリオを正当化するための方便である、というくらいに考えておくのが現実的には賢い考え方だ。

また、年金のような資金の運用計画では、10年、20年といった非常に長い投資期間を想定して、その期間で予想される利回り等を前提とすることが多いのだが、これも適当ではない。「年金は長い期間の運用なので、運用計画を長期で考えるべきだ」という考え方を素朴に適用しても上手く行かないのだ。まして、これを長期の経済見通しのような「あやふやなもの」を頼って決めてはいけない。

例えば、現在の国債を中心とする信用リスクが小さい国内債券の運用利回りは、ほぼほぼゼロであり、向こう数年を投資期間とするなら、ゼロ近辺の期待リターンを前提とすることが適切だ。その先は、現実の推移に応じて前提を修正していくといい。それなのに、20年先を予想して、例えば「2%」といった当面あり得ない空想の平均利回りを前提にして運用計画を作るのは不適切だ。

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