おカネをガッチリ儲ける「運用計画」の作り方 「投資のプロ」たちも、実はかなり迷っている

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簡単な思考実験をしてみるとして、ざっと150兆円の資産を運用するGPIFも、ポートフォリオの調整コストがゼロなら、毎年でも、毎月でも、運用計画を大きく変えることが可能なはずだ。しかし、現実に取引コストを考えると、そういうわけには行かないので、ある程度の期間を想定して運用計画を考えなければならないのが現実だ。

もちろん取引コストを慎重に見積もるべきだが、筆者は、GPIF並みの大きさの資金であっても、せいぜい5年程度の想定期間に対して運用計画を考えていいと思っている。運用期間の想定にあって問題なのは、実は、取引コストと、環境変化のスピードの2つなのだ。

個人投資家にできる運用計画とは?

それでは、個人投資家の場合はどうだろうか。

頻繁にポートフォリオを動かすことは得でないことが多いし、他方でポートフォリオの調整コストはそれほど大きなものではないので、1年単位くらいで運用計画を考えていていい場合が多いと思う。

1年単位で考えるとしても、次に起こりそうなことが何で、それがどの程度現在の資産価格に織り込まれているか、というどちらも重要な2点についてよく分かる投資家はプロ・アマを問わずほとんどいないので(もちろん、私にも分からない)、よほどのことがないかぎり、毎年、毎年、ほぼ同じポートフォリオを持つのがいいという結論が出ることが多い。

もっとも、「現在、国内債券はほぼゼロの利回りで、長期債の場合、今後に利回りが上昇すると損をするリスクがある」といった程度のことは分かるのだから、現在無理に国内債券のインデックス・ファンドに投資したり、国内債券を含むバランス・ファンドに投資したりすることは賢くない。見えている足もとはよく見るべきだ。

他方、昨今株式市場の材料になっている米国のドナルド・トランプ大統領の保護貿易政策のような要因は、経済常識としてそれ自体が好ましくないことははっきりしているので、株価への影響はゼロではない理屈だが、そもそもどの程度実現するか分からない。

仮に実現しても、拙いとなれば将来修正されて、その時には株価は上昇するのだろうから、特に長期で投資している投資家は、案外特段の反応を必要としない。長期の投資家がこのような事情であるとすると、仮に短期の投資家が悪材料に過剰に反応して株式を売った場合には、長期投資家にチャンスを提供することになる。だとすると、短期投資家も今株式を大きくは売り込まない方がいい理屈だ。

結局、投資期間が長いか短いかで、やるべきことはたいして変わらない。

自分にとって適当な大きさのリスクを効率的な形でじっと持っていて、幸運を祈ることが、投資家にできることのほぼ全てなのだ。

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