12月も中旬に入った。そろそろ、2018年の話をしても鬼は笑うまい。
まだ丸々2週間残っているので、100%とは言いがたいが、今年は投資家にとっていい年だった。昨年末の日経平均株価は1万9114円だったので、年末の株価が2万2000円だとして約15%の上昇、2万3000円だとすると約20%の上昇ということになる。
2018年は、ついに上昇相場が終わってしまう?
機関投資家が運用計画で使う国内株式の期待リターンは5%程度だから、今年は3年分から4年分程度のリターンを稼いだことになる。さて、この好調な推移が2018年も続くのだろうか。
先日、長年付き合いのあるストラテジスト氏と新年会の日程調整でメールのやり取りをしていたら、「2018年は、株価が天井をつける可能性があるので、注目している」といった趣旨の言葉が添えられていて、少々驚いた。彼は、当面の日本の企業業績を好調だと予想し、投資家から見た日本企業のガバナンス改革が進むとみていて、ここまで数年間株価に対する見通しは一貫して強気を維持してきた。
相場の世界で「天井をつける」とは、上昇相場がいったん終わることを意味する。「終わり」の判定は、文書化されたルールがあるわけではないが、だいたい前の高値から20%下落したら「ひと相場終わった」と判定されるというくらいが多くの市場参加者の認識だろう。普通の投資家にとっては、10%の下落でも相当にはらはらするもので、前の高値を遠く感じるものだが、株式市場関係者は「株価とは上昇するものだ」との希望的常識を背景に、この程度の下落は「調整」と呼ぶことが多い。
機関投資家は、株式の期待リターンを5%程度に想定する一方で、リスクはリターンの標準偏差でおおむね20%程度とする場合が多い。マイナス1標準偏差の事態が起こるとリターンはマイナス15%ということになるが、これよりも悪い事態が起こるのは全体の16%強だと考えられる。つまり、6~7年に1度だ。いわゆる「アベノミクス相場」が始まったのは、2012年に当時の民主党の野田佳彦首相が「自爆的」ともみえる解散に同意した時からだったから、そろそろ悪いほうに振れることがあってもおかしくないくらいの時間が経っている。
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