実は人生初?スキーにハマる中国人の実情 日本のスキー産業復活の起爆剤になるか
「中国では今、ものすごい勢いでスキー人気が盛り上がっています。2022年に北京で冬季オリンピックが開催される影響が大きく、政府もスキー人口を増やそうとしているようです。今後、パウダースノーで雪質が柔らかい日本に、もっと中国人がやってくるのではないでしょうか」
平昌オリンピックの直前、日本国内のスキー関係企業でインバウンド対応を行う担当者に取材してみると、こんな答えが返ってきた。担当者によると、ここ数年、北京や大連などの大都市には、スキー愛好者たちによるクラブやサークルが次々とでき始めており、日本に続々とスキー旅行にやってくるようになったという。
スキーはほぼ「テレビの中でしか見たことがない」
「クラブの中心的な人がエージェントもやっていて、SNSで募集して、ツアーを組むんです。日本で人気のスキー場といえば北海道ですが、それ以外のスキー場にもけっこう訪れていて、中級者から上級者も少しずつ増えてきました。中にはリゾートホテルに泊まりながら1~2週間もスキーを楽しみ、数百万円も使う富裕層もいますよ」というから驚きだ。
そういえば、1月に長野県・志賀高原で滑落した日本人女性を救助して、自身も遭難後に助かった60代の中国人男性がいたことがニュースになったが、彼は東北部の黒竜江省出身のスキーヤーだった。
実は中国人にとってスキーはポピュラーなスポーツではない。スキーになじみのある人はほとんどいなかったといっても過言ではない。
東北3省(黒竜江省、吉林省、遼寧省)をはじめ、北京などでは雪が降り、東京よりかなり寒い地域も多い中国。しかし、日本の北海道や東北、甲信越地方の一部で行われているような「スキー教室」やスキーの授業があるわけではなく、中国の大学にもスキーサークルはほとんど存在しない。
ウエアや用具にも費用がかなりかかるため、これまでスキーはごく一部の富裕層か、オリンピックを目指す才能のある人だけしかできない特別なスポーツだった。上海以南など、雪がほとんど降らない南方に住む人々にとって、スキーはほぼ「テレビの中でしか見たことがない」ものでもあったのだ。
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