現金NGが当たり前、激変する中国「決済実情」 なぜキャッシュレス化が急速に進むのか
「あ、そうだ。ここは日本だった! 日本じゃまだ現金しか使えないところが多いんだったっけ」
「日本はこういうところはけっこう遅れているんだよね~」
東京・銀座で買い物をしていたときのこと。レジの前でおしゃれな中国人夫婦が小声で会話していたのが聞こえてきた。
2人とも左手にたくさんの買い物袋を持ち、右手でスマホを握りしめている。中国の都市部で頻繁に使われている電子決済アプリ、ウィーチャットペイ(WeChat Pay)を使って支払おうとしたようだったが、日本ではまだ電子決済できない店が多い。そのことをハッと思い出したようだ。
「やっぱり今、中国から日本にやってきたら、そりゃ、こういうふうに感じるだろうな」と苦笑しつつ、私はついついその夫婦に近寄り、聞き耳を立ててしまった。
中国は「超キャッシュレス社会」へと変貌した
日本でも今年の初めごろから大きく報道されるようになった中国人のスマホ電子決済。2016年のスマホ決済額は中国全体で前年比倍増の600兆円に達し、スマホ決済は人口13億7000万人の中国で、およそ8億人に達している。スマホの普及率も、米メディアの2016年の調査では日本が39%であるのに対し、中国は58%。今や北京や上海で財布から現金を出して払っている人といえば、老人か外国人旅行者ばかりだ。昨今では無人のコンビニや、レストランでの会計も「店員不要」で、自分でスマホ決済できる店さえ増えている。中国は大都市だけでなく内陸部でも、スマホ1台さえあれば、交通でも、食事でも、どんな支払いだって決済アプリで簡単にできてしまう「超キャッシュレス社会」に変貌してしまった。
だから、中国に久しぶりに出かけた人はみんな「うわ~中国すごい!」となる。2~3年前からスマホ決済はかなり増えていたが、シェア自転車やら、無人支払い機やら、何だかよくわからないことまでスマホで瞬時にできるようなって「キャッシュレス化」に拍車がかかっている。日本では見かけないものばかりであるため、出張や旅行から帰ってきた人は「中国すごい!」となる。私も最初はその1人だったが、日中を往復する、ある中国人の友人にその話をしたところ、「えっ?」と驚くような意外な答えが返ってきた。
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