日本人に多い「現金払い」は本当に愚かなのか 広がるキャッシュレス決済の利点と盲点
電子マネー、クレジット・デビットカード。さまざまな場所で支払いをする際の決済手段が多様化し、キャッシュレスが広がっていく中、現金払いにこだわる人も少なくありません。ただ、それに対して一部では「いまだに現金払いをしているヤツはバカだ」というような批判が飛び交っています。自称を含めてITあるいは金融リテラシーの高い人ほど、そのような意見をブログやSNSなどで表明しているように見えます。
テクノロジーの観点では、電子マネーやクレジットカードなどのキャッシュレス決済は圧倒的にスマートです。現金を手元に用意する手間がなく、支払いがスピーディで、決済額のデータを蓄積し、家計の分析にも活用できます。ただ、これを自らの生活に取り込み、使いこなしていくには、便利さだけに飛びつく前に十分な理解が欠かせません。その点で筆者は、現金派にとどまる人が多いのも現時点では合点がいくものだと感じます。
クレカ・電子マネーがもたらした買い物スタイルの変化
クレジットカードや電子マネーの利用は、近年大幅に拡大しています。日本クレジット協会の調べによるとクレジットカードの取扱高は2016年に初めて50兆円を超えました。日本銀行の統計では、電子マネーの決済額は2010年の1兆6363億円から2016年には5兆1436億円と、3倍以上に増加しています。
これらキャッシュレス決済の拡大は、個人の買い物のスタイルを大きく変化させました。総務省の「平成26年全国消費実態調査(2人以上の世帯)」で消費支出(1カ月当たり)の決済方法をみると、クレジットカードや月賦・掛け買いによる購入は2009年から2014年の5年間で3万2574円(10.8%)から4万6995円(16.0%)、電子マネーによる購入は1244円(0.4%)から4283円(1.5%)と、いずれも増加しています。
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