「介護離職」を回避するための5つのポイント 年間93日の「休業」や「介護給付金」も利用

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国は育児や介護と仕事を両立させるため、「育児・介護休業法」という法律を設けています。働く人に親などの介護が必要になった場合、仕事を休んだり、勤務時間を短くしたりできることを定めたもので、前述のように今年から制度が拡充されています。

「介護休業」は年93日、「介護休暇」は半日単位で取得可

まず挙げられるのが「介護休業」です。これは介護する対象者(要介護者)1人につき、通算93日まで休業できるというものです。2017年までは1回に限られていましたが、2018年からは、計93日の範囲内で3回までに分けて取得できるようになりました。

93日では足りない(介護は通常、長期間続くため)という声も多いのですが、介護休業は、介護するために取得するというよりは、介護の態勢を整えるために利用する、ととらえたほうがいいでしょう。

たとえばケアマネジャーと面談する、利用する介護サービスについて検討する、実際に利用をはじめて本人の反応をみる、必要に応じてサービスの変更を検討する、といったことにも時間が必要ですから、その間、まとまった休みがとれれば安心です。

介護休業を取得できるのは、1年以上勤務しているなどの条件を満たす人で、自身の父母や配偶者(事実婚を含む)、配偶者の父母、兄弟姉妹、孫の介護が必要になった場合です(祖父母、兄弟姉妹、孫は、同居かつ扶養していることが条件)。

また「介護休業」とは別に、1年に5日まで取得できる「介護休暇」という制度もあります。

2017年までは1日単位でしたが、2018年からは半日単位でも取得できるようになりました。要介護になると通院にも付き添いが必要であり、そうしたときに介護休暇が取得できると便利です。

そのほか、事業主は、家族の介護が必要になった従業員に対し、(1)所定労働時間の短縮、(2)フレックスタイム、(3)始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ、(4)介護サービス費用の助成のうち、いずれか1つを会社の制度として定めることが義務付けられています。

昨年まで、労働時間の短縮などは介護休業と通算して93日でしたが、今年からは介護休業とは別に、3年間で2回以上の利用が可能となっています。

さらに介護が終了するまで、従業員が希望すれば残業が免除される制度も新設されています。日中は介護サービスを使い、夜は定時で帰宅する、といったことができれば安心です。

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