「稼げない=無価値」と考える恐ろしい発想 何か人を追いつめているのか?

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漫画家・さいきまこさんが感じる日本社会の息苦しさとは。(撮影:尾形文繁)
漫画家・さいきまこさん。貧困や生活保護のリアルな状況を、真正面から描き続けています。
生活保護には、なぜスティグマがあるのか? いま子育てする親たちは、どのように追い詰められているのか? 子は親を、親は子を養い、家族が助け合うことが“推奨される”世の中で、どのような問題が進行しているのか?
前編に引き続き、さいきまこさんにお話を聞かせてもらいました。

稼げないことを「無価値」と感じてしまう

――生活保護が、人に言えないことのようになっているのは、なぜでしょうか? 昔は、母子家庭を隠す人も多かったですね。

それは、スティグマ(汚名の烙印)があるからでしょうね。

どうしてスティグマがあるのか。貧困とか、母子家庭というのは、「何か、人として欠落しているものがあるから、そういう状況になったんでしょ」というまなざしが、世間にあるからではないでしょうか。それでは当然「わたしは、そうじゃない」と言ったり、隠したくなったりすると思います。

それと「経済的に自立していなければ、人としての価値がない」という価値観のせいでもありますね。

今度の新刊(『助け合いたい』)では、過労で鬱病になって働けない男性が、障害者認定を受けるという状況を描きました。けれど彼は、自分が障害をもったということを、なかなか受け入れられない。

それは「社会に対して経済的に貢献できない人間には、価値がない」という価値観に縛られているからです。

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